清水建設 建物リニューアル、1000億円台に
トップは語る□清水建設社長・井上和幸さん(59)
--9年ぶりのトップ交代となったが、抱負は
「本業の建設事業で品質と安全を確保し、足元を固めるのが第一だ。また、宮本洋一前社長がまいた種を育てて『第2、第3の柱』を作ることにも注力する。今年は新卒採用252人中、女性が61人。結婚して子供が生まれても、長く働き続けてもらえる組織づくりに努める」
--2015年度は過去最高益の見込みだが、今期は
「さらに積み上げたい。労務費改善や資材安の追い風で業界各社とも業績好調だが、資材調達面でもう一段の工夫を重ね、また新しい施工技術の開発や工程管理の導入などで生産効率を高めていく。製造業と肩を並べられる5%程度の営業利益率が安定的に確保できる構造にしたい。『これをやればOK』という万能の答えはなく、生産システムの改革を愚直に続けていくのみだ」
--国は“施工のスマート化”を推進している
「人口が減る中、労働生産性の向上は建設業だけでなく日本全体の至上命題だ。自前の技術開発や建機メーカーとの協力で、ITやロボットの活用に挑戦していく。開発費がかかっても、長期的な利益につながる」
--新築だけでなく、既存ストックを有効活用していく流れが強まっている
「建物リニューアルの市場は拡大基調だ。昨夏には4つの専門子会社を統合した。清水本体やデベロッパー子会社と一緒に幹を太くし、現在400億円台の売上高を早期に1000億円台へ乗せたい。そのためにはマンパワーの強化、顧客ニーズを作り出す『提案力』を備えた技術者の育成も必要だ」
--東京五輪・パラリンピックに向けた人手確保は
「建築と土木の各事業部門に横ぐしを通すため『総本部制』を導入した。経営資源としての人材を機動的に動かして対応する」
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【プロフィル】井上和幸
いのうえ・かずゆき 早大院修了。1981年清水建設入社。2013年執行役員建築事業本部第二営業本部長、15年取締役専務執行役員名古屋支店長などを経て16年4月から現職。東京都出身。
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