松阪牛、海外PRチャンス サミットで提供? 輸出には「欧米基準」の壁

 
品評会で高値がついた松阪牛=2015年11月、三重県松阪市

 とろけるような食感の高級食材「松阪牛」。三重県は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を知名度向上のチャンスと位置付け、各国首脳に味わってもらおうと外務省に働き掛けている。ただ、食肉処理施設が欧米の衛生基準を満たしておらず、現状では輸出は困難。県の担当者は「これを機に体制整備の弾みがつけば」と期待をかける。

 松阪牛は出産経験がない雌牛で、生後12カ月以内に三重県松阪市周辺の生産区域に持ち込まれ飼育、松阪市などにある2カ所の処理施設で加工されたものを指す。

 手間を掛けた長期肥育でもたらされる脂が乗った肉質が特徴で、鈴木英敬知事も昨年10月、伊勢エビやアワビといった県産食材とともにサミットで提供するよう外務省に要望書を提出している。

 同じ和牛の高級ブランドの神戸牛が輸出体制を整え、2010年以降、欧米などに計130トンも輸出されているのに、三重県が把握している松阪牛の商業輸出は13年のマカオ、14年のタイへの計100キロほどしかない。

 欧米の基準に合わせるためには、豚肉とは別施設での処理などが求められるが、現在の施設を合わせるためには巨額の費用が必要。輸出が低調な理由としては「国内では依然高値で売れる」との意識が強いこともあるようだ。

 三重県は国内市場の縮小を見据え、昨年から今年にかけてイタリアや米国で試食会を開催。しかし、そこで振る舞われた肉は、群馬県にある欧米基準を満たした施設で処理するという例外的な措置を取ったものだった。

 海外での評判は「口の中で溶ける」「歯応えがやわらかい」と上々なのに、施設整備の見通しは立っていない。県畜産課の中川知之主幹は「将来のことを考えると、欧米への販路を整えることは必要。その味で各国首脳をうならせれば、輸出の機運も高まるのではないか」と話している。