携帯電話「ロボホン」シャープ救世主たるか… 鴻海の本気度次第?

 
シャープが発売するモバイル型ロボット電話「ロボホン」=14日、東京都港区(寺河内美奈撮影)

 シャープは14日、人型ロボットの携帯電話「ロボホン」を5月26日に発売すると発表した。顔や音声を認識でき、人工知能(AI)技術により簡単な会話ができるのが特徴。同社は、AIと通信技術を組み合わせた次世代型家電の開発を経営再建の柱に据える方針で、ロボホンはその象徴に位置付けられる。

 「iPhone(アイフォーン)以来のイノベーションになる」。14日発表された、二足歩行や人との対話のできるシャープのロボット型携帯電話「ロボホン」。開発者たちはこう自賛し胸を張った。

 「オッケー、起き上がるね」

 報道陣200人が集まった満席の会見場。テーブルの上のロボホンはシャープ担当者の「こっちに来て」という呼び掛けに返答し、おもむろに立ち上がった。

 デモンストレーションでは、音楽に合わせてダンス。額の部分に備えた小型プロジェクターで動物の写真を上映しながら「かわいいね」などとコメントするなど性能をアピールした。

 スマートフォンの機能だけでなく、他愛もない会話も含めたコミュニケーションが取れることがロボホンの売りだ。

 19センチあまりと小さく、持ち歩けるサイズもロボットとしての強み。持ち主の行動パターンを記憶して自ら話しかけるなどするため愛着が湧きやすい。シャープでは若者だけでなく、中高年の女性ら幅広い世代に支持されるとみている。

 簡単な対話ができるロボットは、AI技術の進歩とともに家庭にもじわりと普及。ネット関連会社DMM.com(東京)が販売する「Palmi(パルミー)」はネットにつなげばニュースや天気を伝えてくれる。タカラトミーの「OHaNAS(オハナス)」はNTTドコモの対話技術でより自然な会話を目指した。

 シャープは、優れた技術がありながら、マーケティングや販売がうまくいかず頓挫したケースも少なくない。平成5年に発売した携帯情報端末「ザウルス」は通信機能を備えた画期的な電子手帳として一世を風(ふう)靡(び)したが、iモードを備えた携帯電話やスマートフォンの普及で姿を消した。

 ロボホンがビジネスとして成長できるかは、シャープ買収を決めた台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の方針にも左右される。さらなる技術革新と販路開拓、値下げ圧力に屈しないブランド力維持が重要となる。