ミャンマー建国ファンドCEO・房広治さん
リーダーの素顔■下宿の大家はスー・チー氏 人生変えた
ミャンマー建国ファンドの房広治最高経営責任者(CEO)は、日本人初のM&A(企業の合併・買収)アドバイザーや著名投資家として、世界の金融市場に名をとどろかせた。現在の事業を始めたのは、友人でノーベル平和賞受賞者、アウン・サン・スー・チー氏主導の同国新政権を手助けするためだ。
--英オックスフォード大留学時代の1984年から1年余り、スー・チー氏の自宅に下宿した
「私が大学の研究所で新聞を読んでいたとき、人懐っこい笑顔で声を掛けられた。その2年後に再び声を掛けられ、下宿人第1号になりました。最近になってスー・チー氏と知り合った人からは『近寄りがたい雰囲気の彼女からは想像できない』と不思議がられます」
--なぜ、スー・チー氏は下宿を呼びかけたのか
「日本人学生はまじめで部屋もきっちり整理整頓され、夜まで騒ぐことはないだろうという理由でした。野菜中心の彼女の手料理をごちそうになり、祖国や父アウン・サン将軍の話を聞きました」
--ミャンマー事業に乗り出すきっかけは
「彼女が長年の自宅軟禁や刑務所から解放されたため、『会いたい』と思い立ち、2012年にミャンマーを初訪問。知人の手引きで27年ぶりの再会を果たしました。ミャンマーが劇的に変わる歴史的瞬間が来たと確信し、人生で初めてお金ではなく、スー・チー氏の目指すミャンマー民主化を手助けしたいと思いました」
--具体的には
「世界中から資金を集めて、最新鋭の精米所ネットワークや環境破壊ゼロのエビ養殖システムを構築しようと考えています。ミャンマーの平均年齢は26歳。日本の明治維新と同じように急成長できる可能性は大きく、投資に見合うリターンはあるはずです」
--日本人初のM&Aアドバイザーとしても活躍した
「どうすれば会社を高く売り、どうすれば安く買えるかを真剣に考えました。当時は買収金額が高いほどアドバイス料も高く、私のような考えは少数派。『想定価格より安く買えたらインセンティブ(報奨金)を下さい』という提案は経営者に喜ばれました」
--2004年には独立し、自らファンドを立ち上げた
「さまざまな投資家から資金提供されました。運用を開始した05年には100億円が230億円ほどに膨らみ、金融専門誌の日本株部門ファンド・オブ・ザ・イヤーに選ばれた」
--世界の金融市場での投資は続けるのか
「株の空売りなどは控え、成長余力の大きいミャンマーを含む南アジアでの投資に集中します」(藤原章裕)
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さまざまな業界で活躍するリーダーの素顔に迫ります。
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【プロフィル】房広治
ふさ・こうじ 早大理工卒。英オックスフォード大留学中に投資銀行に就職し、M&Aアドバイザー日本人第1号に。欧大手投資銀の日本法人社長などを経て2004年に独立。14年4月から現職。56歳。兵庫県出身。
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≪DATA≫
【人生のターニングポイント】
今年3月末、ミャンマーでアウン・サン・スー・チー氏主導の新政権が発足。「英国留学時代の下宿先の大家さんが、カリスマの人になって、もうびっくり。彼女がいなければ、私がミャンマーにのめりこむことはありませんでした」
【妻】
英国で働いていた1989年に現地で知り合った日本人。帰国後の92年に結婚した。「ライバル会社で働いていました。とても国際的なマインドを持ち、妻の希望で今は英国在住です。私が世界を好きなように飛び回って仕事できるのは妻のおかげなので、完全に尻に敷かれています」
【家族】
妻と4人の娘は英国在住。自宅では日英両語が“公用語”。「妻と長女の3人で会話する場合は日本語、現地育ちの三女か四女が加わると英語です。四女は日本語を学ぶ意欲が全くないが、大人になるころには日本人ビジネスマンも皆英語をしゃべっていると思います」
【健康法】
「時間があればマッサージ師を呼んで免疫力を活性化する。車にはなるべく乗らず、毎日1万歩は歩くようにしています」
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