東芝、室町社長6月にも退任 指名委、後任選びを本格化

 

 東芝の室町正志社長(66)が6月に退任する方向で調整を進めていることが分かった。社外取締役でつくる指名委員会が20日の会合で、後任選びを本格化させた。白物家電事業の売却や1万4450人の大規模な人員削減で体質の改善に道筋がついたとして、経営体制を刷新する方向で検討する。

 室町氏は退任の意向を示しており、指名委は5月中旬までに後任人事を決定する方針。月内にまとまる可能性もある。次期社長は「内部昇格の方向」(関係者)で、主力の半導体事業を担当する成毛康雄副社長(61)が有力だ。志賀重範氏(62)、綱川智氏(60)の両副社長も候補に挙がっている。

 室町社長は就任後、白物家電事業の中国・美的集団への売却交渉をまとめたほか、医療機器子会社の売却で財務体質の改善にもめどをつけた。懸案だった米原子力子会社、ウェスチングハウス(WH)の減損処理も2016年3月期に実施する方向となり、「負の遺産」の整理が一段落する。

 不正会計問題の発覚時に会長を務めていた室町氏は、自らも問題の責任の一端があるとして辞意を示していたが、西室泰三相談役(当時)に慰留された。当時の田中久雄社長の辞任を受けて社長に就任し、東芝の経営再建を進めてきた。

 東芝は、室町社長の後任を指名委の主導で選び、正常化を印象づけたい考えだ。