トップへの報告まで5カ月 「物言わぬ風潮」改善されず
三菱自不正三菱自動車の燃費データ不正問題は、外部の指摘から相川哲郎社長への報告まで約5カ月を要した。平成12年、16年の2度のリコール(回収・無償修理)隠しでは厳しい批判を受け、今回も不都合な情報を積極的に開示しない企業体質を指摘する声が上がる。三菱自は26日に不正の詳細を国土交通省に報告するが、経営の立て直しには抜本的な対策が必要になる。(会田聡)
「原因が分からない状態で(社長に)報告はできない」。不正を発表した20日の記者会見で、中尾龍吾副社長は報告の遅れをこう釈明した。
三菱自によると、発端は軽自動車を共同開発する日産自動車が昨年11月、次期モデルの参考として現行車の燃費性能を測り、認証された燃費値との違いに気付いたことだ。12月に日産が共同で再試験を申し入れたが、実施は2月までずれ込んだ。4月に社内調査を始めても「不正があると思っていなかった」(中尾副社長)と報告せず、相川社長に伝わったのは不正確認後の4月13日だった。
相川社長は「不正の認識から報告までは遅くないが、(日産との)技術的データのやり取りについていま思えば報告すべきだった」と苦渋の表情で語る。
これに対し、三菱グループの企業幹部は「悪い情報を上層部に伝えない文化がある。リコール隠しの問題に根本治療ができていなかった」とあきれ顔だ。
三菱自は12年、16年とリコールを届け出るべき車両の欠陥を組織的に隠し、家宅捜索を受けたことなどでブランドが失墜。国内販売が落ち込み窮地に陥ったところを、三菱グループの出資で乗り切った。
相川社長は「12年以降、コンプライアンス(法令順守)を社内に浸透させてきた」と話す。だが、17年にも軽自動車のエンジンオイル漏れの不具合を把握しながら22年までリコールを実施せず、国土交通省の立ち入り検査を受けるなど改善は進んでいない。
今回の不正発表後の今月21日、社外有識者でつくる企業倫理委員会は「物言わぬ風潮が戻ってきているのではないか」と指摘した。危機管理に詳しい経営コンサルタントの小宮一慶氏は、「(発端の)昨年11月は独フォルクスワーゲンの排ガス不正が大きく報道されていた。問題の重大さに気付かず、報告しないのはコンプライアンスへの意識が低い証拠だ。改善には経営陣や各部門の責任者を刷新するなど荒療治が必要になる」と語った。
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