三菱自「物言わぬ体質」に厳しい目 トップ報告に5カ月 再建へ「荒療治が必要」
三菱自動車の燃費データ不正問題は、外部の指摘から相川哲郎社長への報告まで約5カ月を要した。2000年、04年の2度のリコール(回収・無償修理)隠しでは厳しい批判を受け、今回も不都合な情報を積極的に開示しない企業体質を指摘する声が上がる。三菱自は26日に不正の詳細を国土交通省に報告するが、経営の立て直しには抜本的な対策が必要になる。
「原因が分からない状態で(社長に)報告はできない」。不正を発表した20日の記者会見で、中尾龍吾副社長は報告の遅れをこう釈明した。
三菱自によると、発端は軽自動車を共同開発する日産自動車が昨年11月、次期モデルの参考として現行車の燃費性能を測り認証された燃費値との違いに気付いたことだ。12月に日産が共同で再試験を申し入れたが、実施は2月までずれ込んだ。4月に社内調査を始めても「不正があると思っていなかった」(中尾副社長)と報告せず、相川社長に伝わったのは不正確認後の4月13日だ。
相川社長は「不正の認識から報告までは遅くないが、(日産との)技術的データのやり取りについて今思えば報告すべきだった」と苦渋の表情で語る。
これに対し、三菱グループの企業幹部は「悪い情報を上層部に伝えない文化がある。リコール隠しの問題に根本治療ができていなかった」とあきれ顔だ。
三菱自は00年、04年とリコールを届け出るべき車両の欠陥を組織的に隠し、家宅捜索を受けたことなどでブランドが失墜。国内販売が落ち込み窮地に陥ったところを、三菱グループの出資で乗り切った。
相川社長は「00年以降、コンプライアンス(法令順守)を社内に浸透させてきた」と話す。だが05年にも軽自動車のエンジンオイル漏れの不具合を把握したが、10年までリコールを実施せず、国交省の立ち入り検査を受けるなど改善は進んでいない。
今回の不正発表後の今月21日、社外有識者でつくる企業倫理委員会は「物言わぬ風潮が戻ってきているのではないか」と指摘した。
危機管理に詳しい経営コンサルタントの小宮一慶氏は「(発端の)昨年11月は独フォルクスワーゲンの排ガス不正が大きく報道されていた。問題の重大さに気付かず、報告しないのはコンプライアンスへの意識が低い証拠だ。改善には経営陣や各部門の責任者を刷新するなど荒療治が必要になる」と語った。
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■三菱自動車の不正の経緯
2000年7月 欠陥隠し問題が発覚
04年3月 部品の欠陥認めリコール。その後、欠陥による死傷事故で元社長らが逮捕
05年2月 軽自動車でエンジンオイル漏れの不具合を把握
10年11月 オイル漏れ問題でリコール
12年12月 国土交通省が立ち入り検査
15年11月 日産自動車が共同開発する軽自動車の燃費性能が認証値と違うことを発見
12月 日産が三菱自に再試験を申し入れ
16年2月 日産と共同で再試験
3月末 再試験の結果、燃費性能と認証値の違いを確認
4月1日 社内調査を開始
4月13日 相川哲郎社長に不正を報告
4月20日 4車種62万5000台で不正があったと発表
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