中国人の心つかむ接客伝授
JAPAN style■人材会社WMHが販売員向け講座
ファッションブランドや百貨店の販売員向けに、中国人観光客対応の接客力育成研修が注目を集めている。ファッション業界に特化したサービス企業のワールド・モード・ホールディングス(WMH)が新サービスとして今月開始。訪日外国人の消費拡大を見込み、需要増を期待する。
日本政府観光局(JNTO)によると、2015年度の訪日外国人客は初めて2000万人を突破し、前年度の1.4倍となった。このうち国・地域別の最多は中国で、4人に1人を占める。
WMHの新サービスは、企業の人事部や店舗スタッフを対象に中国人観光客対応の集中トレーニングを提供する。接客専門の講師が、中国人観光客の行動の特徴や文化的な違い、求められる対応などを教える。「中国人団体客と日本人客が同時に来たらどう対応するか」といったケーススタディーも重ねる。
同社によると百貨店やブランド店では、中国人観光客増加の一方で、混雑する店舗から日本人顧客が離れているとの悩みが大きくなっているという。
中国人観光客はいわゆる「爆買い」で知られ、観光庁調べでは国・地域別の旅行消費額がもっとも大きい。15年は前年比で2.5倍と急増。費目別消費額でも中国人は買い物が突出し、6割近くを占めている。研修担当の三水明美トレーニングマネジャーは「店舗は、急に増えた中国人観光客に考える間もなく対応しているのが現状」と分析。「中国人は日本ならではのおもてなしを期待している。SNSの時代で観光客同士の情報交換も早い。相手の文化を理解した上で接客できるかが売り上げを左右する」と指摘する。
WMHの人材紹介や派遣サービスでは、約10万人が登録し、約5000人が稼働する。政府が20年までに、訪日観光客数4000万人の目標を掲げていることを受け「外国人観光客への対応は一過性でなく今後のスタンダードになる」(広報担当者)と、研修サービスの広域展開を目指す。
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