三菱自の燃費不正、見劣る開発費が引き金か 経営危機で削減、トヨタの1割以下
三菱自動車の燃費データ不正問題で、三菱自は26日、燃費の基準になる走行抵抗の測定法について、20年以上にわたって法令と異なる方法を使用していたことを明らかにした。今後、調査委員会が原因を究明するが、三菱自は開発費が他社より少なく、開発部門が不正に至る要因になったのではないかとの見方は少なくない。
「(車両の開発時間短縮が目的の)可能性があると思う」
中尾龍吾副社長は26日の会見で、法令と異なる方法を使い続けていた理由について、こう説明した。
自動車メーカーは新型車を投入する際、各国の法令に基づいた方法で燃費などを測定する必要がある。三菱自が使用していたのは米国で使われている方法だったが、日本や欧州、新興国でも展開が求められる中、開発の効率化を狙って採用を続けていた可能性がある。
自動車各社は技術開発に巨額の投資が必要だ。各国で規制が強化される中、燃費や排ガスなどの厳しい基準をクリアし、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)なども開発しなくてはならない。今後は自動運転技術も不可欠になる。
ただ、2000、04年と相次いだリコール(回収・無償修理)隠しで経営危機に陥った三菱自は、三菱商事などグループの支援を受け、再建に取り組んできた。その過程で、「開発費や人員が抑えられてきた」(関係者)側面がある。
15年度の国内8社の研究開発費見通しでも、トヨタ自動車が1兆円、ホンダや日産自動車も5000億円以上。富士重工業は1015億円で、販売台数は同じ100万台規模でも三菱自は820億円と見劣りしている。
業界での生き残りには事業の“選択と集中”が必要で、三菱自も12年の欧州、15年の米国での自動車生産の撤退など、投資の効率化を進めてきた。
ただ、富士重が12年に軽自動車の自社生産から撤退する一方で、三菱自は日産と提携することで軽事業を維持。結果的にピックアップトラックから軽まで手がける。富士重はトヨタからHV技術の提供を受けているが、三菱自はEVなど電動化技術を自前で開発している。
他メーカーからは「すべて自社でまかなうには企業規模が小さい」との声も漏れる。今回の不正で、その限界が露呈した可能性があり、今後、事業の選択や再編を迫られる恐れがある。
■自動車大手の研究開発費
(2014年度/15年度)
トヨタ 1兆45/1兆600
ホンダ 6703/7350
日産 5061/5300
スズキ 1259/1300
マツダ 1084/1250
富士重 835/1015
三菱自 746/820
ダイハツ 452/470
※単位:億円、15年度は見通し
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