ソニー3年ぶりの最終黒字達成 三菱電機は中国需要低迷、パナは電子部品が苦戦
ソニー、パナソニック、三菱電機など電機大手5社は28日、2016年3月期連結決算を発表した。中国景気の減速や下期からの円高基調の影響で、4社が減収、3社が営業損益ベースで減益となった。ソニーは構造改革の成果などにより、3年ぶりの最終黒字を達成。前期が不振だったこともあり、大幅な増益となったが、熊本地震による生産拠点の停止の影響で17年3月期の業績予想については、5月24日まで公表を見合わせる。
三菱電機は中国での需要低迷を受け、スマートフォン業界向けファクトリーオートメーション(FA)機器などが減速。営業、最終利益ともに減益となった。FA機器について、松山彰宏専務執行役は「16年度下期に持ち直す」との見通しを示した。
パナソニックも電子部品が苦戦。津賀一宏社長は「引き続き厳しい状況が続く」とみるが、スマホにつながる家電を投入するほか、ODM(企画・設計を含めた委託生産)などで工夫し、きめ細かに白物家電を強化する方針だ。
円高基調は今後も続くとみられる。三菱電機は、17年3月期については、円高が約1300億円の減収要因となると見込む。
熊本地震の発生で、ソニーは画像センサーなどを手掛ける工場(菊陽町)が停止し、生産再開のめどが立っていない。修理などにかかる費用は、地震保険の補償上限の200億円を上回る見込みだ。
成長を牽引(けんいん)する画像センサーは、中国の景気減速の影響で伸びが鈍化している。吉田憲一郎副社長は「スマホ関連市場の成長が鈍化しており、それを前提に戦略を組み立てる必要がある」との認識を示した。
合志市の半導体関連工場と菊池市の液晶関連工場の稼働再開のめどが立った三菱電機も「売り上げに影響する可能性がある」(松山専務執行役)、和水町の電子部品工場が稼働したパナソニックも「サプライチェーン全体がどうなっているのか、現在では説明できる状況ではない」(津賀社長)と不安を隠さない。
このほか、自動車機器の重要取引先の三菱自動車の燃費不正データの影響が広がる可能性があり、今後も油断できない状況だ。
■電機大手5社の2016年3月期連結決算(売上高/営業利益/最終利益)
ソニー 8兆1057(▲1.3)/2941( 4.3倍)/1477( - )
パナソニック 7兆5537(▲2.1)/4157( 8.8)/1932( 7.7)
富士通 4兆7392(▲0.3)/1206(▲32.5)/ 867(▲38.0)
三菱電機 4兆3943( 1.6)/3011(▲ 5.2)/2284( ▲2.6)
NEC 2兆8211(▲3.9)/1073(▲16.2)/ 687( 20.0)
※単位:億円。カッコ内は前年同期比増減率%。▲はマイナス、-は比較できず。富士通は国際会計基準、ソニー、パナソニック、三菱電機は米国基準、NECは日本基準
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