軽販売、4月ほぼ半減 下請け補償など損失拡大は不可避

三菱自不正

 三菱自動車の4月の軽自動車販売は、燃費データ不正問題で主力軽「eK」シリーズを販売停止したことで、前年同月比44・9%減の1477台に落ち込んだ。軽の供給先の日産自動車も51・2%減の5574台となり、いずれもほぼ半減した。販売停止の長期化やイメージ悪化で厳しい状況は続く見込みで、下請け企業などへの補償も含めて損失が拡大する恐れがある。

 全国軽自動車協会連合会が2日発表した。三菱自と日産は、不正を発表した4月20日に対象の軽4車種を販売停止。販売店は納車前の検査登録を月末にまとめて行う傾向があり、売買契約済みの車種も不正発表後に登録を止めたことで落ち込み幅が広がった。

 ただ、受注停止の影響が本格的に出るのは「5月以降になる見込み」(同連合会)。日本自動車販売協会連合会によると、三菱自の軽を除く普通車販売は4月に37・9%増の2110台と好調を維持したが、「不正発表後は普通車も含めて受注が半減した」(相川哲郎社長)としており、イメージ悪化の影響もあって、さらなる落ち込みも予想される。

 三菱自は連休明けに燃費の再試験結果を示し、認証を改めて求める方針。これに対し、国土交通省は原因究明を求めており、軽の生産・販売停止が長期化する公算が大きい。

 このため、三菱自は軽の生産拠点の水島製作所(岡山県倉敷市)の下請け部品メーカーなどにも補償を含む支援策を検討する。

 すでに取引先の資金繰りや稼働状況などの聞き取り調査を実施しており、支援の詳細を詰める。また、生産停止で自宅待機になっている同製作所の従業員約1300人の休業中の賃金について、組合側と協議を始めた。

 三菱自は軽4車種の顧客にガソリン代やエコカー減税の追加負担などを補償する考え。野村証券は軽の補償額を425億~1040億円と試算しているが、販売停止の長期化や下請け企業などへの補償が膨らめば、経営への打撃がさらに甚大になるのは必至だ。