アキュラホーム 新築の太陽光発電搭載率100%目指す
eco最前線を聞く□アキュラホーム・宮沢俊哉社長
木造注文住宅を手がけるアキュラホーム(東京都新宿区)は豊かな暮らしを提案する取り組みの一環として、太陽光発電システムを搭載した「太陽が稼ぐ家」を提案している。2014年7月に「環境貢献企業宣言」を掲げた宮沢俊哉社長は、太陽光発電による電力の自給自足により「電力会社から電気を購入しなくてもいい時代が来る」と明日を見据える。
◆稼ぐ家を実現
--「太陽光発電の家」を早くから供給している
「03年から発売しているが、当時は20年以上の稼働で設置費用が回収できる時代だった。しかし企業として、社長として太陽光発電の普及に率先して取り組む必要があると判断、自宅に設置した。そこで分かったのはオール電化と組み合わせることで安くなる、言い換えると元が取れる年数が短くなること。液晶モニターで発電量や電力消費量を『見える化』することでエコ意識も生まれる」
--太陽光発電を普及させるためのキーワードは
「断熱性能が高く、隙間風が吹かない『省エネ住宅』、太陽光発電など再生可能エネルギーによる『創エネ』、『省エネ機器・設備』、『省エネ意識』の4つ。これらをそろえることで光熱費ゼロになる。(省エネと創エネにより家庭で使うエネルギー消費量をおおむねゼロにできる)ゼロエネルギー住宅(ZEH)にも近づく。元が取れないといわれた太陽光発電で『稼ぐ』ことも可能になる」
「屋根一体型の10キロワット太陽光発電を標準搭載することで、固定価格買い取り制度による20年間の全量買い取りによって単純計算だが今では6年で回収できる。また太陽光発電のメーカーの出力保障・機器保障もあるので安心だ。35年の住宅ローンで考えると、制度適応期間の20年間は約510万円(売電価格24円で計算)、期間終了後の15年間は電気代として使用することで334万円の電気代を節約できる。設置費用を除くと35年間で844万円を稼いでくれる。太陽光発電は家計を楽にしてくれる必須アイテムといえる」
◆クラスターコモンに全力
--新築住宅への太陽光発電の搭載率は
「16年3月は59.9%。一時的には70%強に高まった。100%搭載を目指しているが、予算など住まい手のいろいろな事情から難しいことは分かった。しかし旗を降ろしていない。太陽光発電が資産価値を高めることなどを説明して少しでも近づけるよう努力していく」
--ZEHへの挑戦は
「創エネなど4つのキーワードに加え、蓄電で電力会社からの買電ゼロも可能だ。私も85キロワットの電気自動車と折り畳みの電動バイクを購入して充電しており、災害などでいつ停電になっても生活に困らないように備えている。いわば自立型住宅だ」
--街づくりでも提案している
「スマートタウンとしてブドウの房状に住宅が配置され、それぞれにコミュニティー機能を持たせた『クラスターコモン』の街づくりに取り組みたいと考えている。住宅の屋根には太陽光発電を搭載し、井戸を掘り、薪ストーブやバーベキュー設備も備える。さらに蓄電・充電機能を持つ電気自動車を保有すれば、電気や水道、ガスが使えなくても住民とコミュニケーションを取りながら災害時にも安全・安心に暮らせる。住みたいブランドとして根づけば資産価値も上がる」(松岡健夫)
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【プロフィル】宮沢俊哉
みやざわ・としや 中学卒業と同時に住み込みで大工修業開始。修業先の工務店が倒産したため、1978年都興建設(現アキュラホーム)を創業し社長。56歳。東京都出身。
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