英BIG テレマティクスで高付加価値保険を
インタビュー□英ボックス・イノベーション・グループCEO マイケル・ブロックマンさん(58)
--走行データを保険料に反映するテレマティクス自動車保険を専門にしている。差別化のポイントは
「テレマティクス保険は安全運転を心がければ保険料を安く抑えられるほか、保険会社と密に連絡を取れるのが特徴だ。事故が起きた場合に、当社がリアルタイムで発生場所や衝撃の大きさを把握して契約者に連絡したり、救急車を呼ぶこともできる。契約者も自分の運転の仕方のほか、保険証券をスマートフォンで確認できる」
--客層は
「2010年に事業を始め、契約は累計50万件に達した。契約者の平均年齢は23歳で、他社が積極的に取りに行かない運転初心者が多い。英国では25歳未満の自動車保険料は年平均2500ポンド(約40万円)だが、当社の契約者は約1000ポンド安くなる。当社にとっても保険金の支払いが減る。交通事故が減ることは社会全体の利益にもなる」
--今後のグローバルの市場見通しは
「当社のような成功例が出てきたことで、テレマティクス保険に対する期待は世界中で高まっている。市場は、これから本格的に立ち上がるだろう。日本の消費者はスマホなどの新技術・製品に前向きなので、今がテレマティクスを普及させる絶好のタイミングだと考えている」
--昨年、あいおいニッセイ同和損害保険の傘下に入った。今後の事業展開は
「当社のノウハウと技術をどのように活用したら、各国・地域でその価値を最大化できるか検討しているところだ。年間約16億キロ分蓄積される走行データを使って保険以外の分野でも、高付加価値型のサービスを展開していきたい。たとえば運転手に事故の多い交差点で注意を促したり、適切なタイミングでブレーキパッドやタイヤの交換を勧めるサービスなどが考えられる」
◇
【プロフィル】マイケル・ブロックマン
1986年パール・インシュアランス・カンパニー個人商品部でアクチュアリーとして勤務、93年EMBコンサルタンシーLLP創業。2009年にボックス・イノベーション・グループを創業してから現職。
関連記事