就活スタートへ重要度増す「インターン参加」 熊谷智宏
講師のホンネ6月1日に就職ナビサイトがインターン情報を公開する。2018年卒の就職活動もスタートだ。新3年生は「サマーインターン」と呼ばれる、夏に開催される企業のインターンプログラムに応募する。実施企業の約半数は、応募者に「選考」を課し、学生を選抜する。
昨年の実績をみると、大手ほど厳しい選考を課している。書類はもちろん、筆記や面接を実施する企業もある。通過した学生は1~5日間、企業のオフィスに足を運び、グループワークやビジネスコンテストを通して、企業のビジネスに対しての理解を深めることや営業同行、会議への参加を通して業務理解を進めていく。企業によってプログラムは異なるが、学生にとって「働くこと」と向き合う貴重な場となっている。2017年卒の学生の就職活動をみていると、「インターンへの参加」が本選考に与える影響はかなり大きい。
企業によっては参加者の特典として、プログラム終了後に「社員座談会」「内定者との交流会」「専属リクルーター」「人事による面接対策」の機会を提供している。
ただでさえ、インターン参加により企業理解が進んでいる上に、企業を深く知るさまざまなチャンスを手にすることができている。当然ながら、本選考の書類準備や面接での受け答えも他の学生より精度が高く、志望企業への内定が近づく。企業にとってもインターン選考を突破した優秀な学生に対し、自社の社員や仕事の魅力に触れてもらう機会があるため、志望度を高めることに成功している。
一方、経団連加盟企業でない企業では、参加者の中から選考をはじめ、既に次々と内定を出している。ある大手のベンチャー企業では、内定数の8割以上をインターン生から出すという。人事に聞くと「短時間で見極めが必要な面接と比べてインターンは1週間程度、学生をしっかりと評価できるため採用のミスマッチを防げる」そうだ。これは大手も同じだろう。志望業界の理想と現実のギャップを確認する場や、適性を見極める機会になっているだけでなく、時間をかけて自分を見てもらえるチャンスにもなっている。ますます重要度が増すと予想されるインターン。
学生にとって、よりよいキャリア選択の機会となることを願っている。
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【プロフィル】熊谷智宏
くまがい・ともひろ 我究館館長。横浜国立大学を卒業後、リクルートに入社。2009年、ジャパンビジネスラボに参画。現在までに2800人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職や転職、キャリアチェンジの支援を行う。難関企業への就・転職の他、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得の支援など、幅広い領域で圧倒的な実績を出している。著書に「絶対内定2017」シリーズがある。
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