東芝、社長に綱川氏昇格 再建策実行、手腕を評価

 
社長昇格が決まり、記者会見する東芝の綱川智副社長(左)。右は退任する室町正志社長=6日午後、東京都港区

 経営再建中の東芝は6日、室町正志社長(66)が退任し、後任に綱川智副社長(60)を昇格させる人事を正式発表した。6月下旬の株主総会を経て正式に就任する。空席となっている会長には、志賀重範副社長(62)が就く。室町氏は特別顧問となり、経営の一線から退く。白物家電事業の売却などリストラに一定のめどがついたため、経営体制を刷新して再生を目指す。

 綱川氏は、3月にキヤノンへの売却を決めた医療機器子会社の事業拡大で頭角を現し、2010年から4年間は同社社長を務めた。

 不正会計問題発覚後は経営企画部門を担当。再建策の実行に携わり、人事に関する取締役会の諮問機関「指名委員会」(委員長・小林喜光三菱ケミカルホールディングス会長)からも手腕を高く評価された。

 志賀氏は、半導体、社会インフラと並ぶ重要な柱である原子力部門のトップを務め、米原子力子会社ウェスチングハウスの会長などを歴任した。会長に就任後は、官庁や経済界との渉外役として、企業価値の向上に努める。

 綱川氏は会見で「創業以来の厳しい状況のなか、社長職の責任の重さを痛感している。信頼回復に取り組み、この難局を乗り切りたい」と抱負を述べた。

 指名委員会は外部からのトップ起用も検討したが、社内に候補を絞り込み、副社長3人を中心に人選を進めていた。

 会見に同席した小林委員長は「東芝の事業領域は広い。東芝を最も知っている人材を選ぶほうがいいと判断した」と選定の経緯を述べた。

 室町氏は、自らが主導したリストラの実行について「経営トップとして大きな責任を感じている」と振り返りながら、「社長、会長とともに、企業価値の向上に全力を尽くす。執行側の要請に応じて、必要があればサポートをしていく」と述べた。