磁気テープ需要拡大、日本企業ほぼ独占 安くて大容量、ビッグデータ追い風

 
富士フイルムが昨年11月に発売した磁気テープ。データを30年以上、保存できるという

 カセットやビデオのテープが姿を消す中、記録メディアとしての磁気テープの需要が拡大している。さまざまな業種にビッグデータの活用機運が広がり、膨大な情報を蓄積・管理するニーズが高まっているからだ。データセンターなどでは従来、ハードディスク駆動装置(HDD)や半導体のフラッシュメモリーを使った記録装置が利用されてきたが、一部が磁気テープに置き換わってきた。単位当たりの容量が大きく、コストを抑えられる利点が注目されている。

 コンピューター用の磁気テープは、1965年に富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)が初めて発売した。世界シェア首位の富士フイルムが昨年11月に発売した磁気テープの記録容量は15テラバイトだ。1テラバイトはDVD約200枚分に相当する。

 企業や研究機関などが収集し、データセンターなどに蓄積する情報は加速度的に増えている。すべてのモノがネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)を事業に生かす需要も加わり、さまざまなデータを消去せずに取っておく必要性に迫られているからだ。

 データセンターではHDDや、フラッシュメモリーを使った「SSD」という装置が使われているが、磁気テープも技術の進化により、コスト競争力が上がった。磁気テープは常時、通電している必要がないため、電気代も節約できる。HDDなどと比べて特定のデータにアクセスするまでの時間がかかるという弱点はあるが、書き換えなどの頻度が低いデータの記録用に磁気テープを使う動きが、特に海外で強まっているという。

 富士フイルムの助野健児取締役は4月の決算会見で「独自技術を使った磁気テープの販売は好調に推移している」と強調した。15年の出荷計画(容量ベース)は、5年前の約4倍に膨らんでいる。

 磁石に引きつけられる物質である「磁性体」に情報を記録するという原理はビデオテープなどと同じ。この磁性体の粒子を微細化することで容量を上げた。粒子の体積で比べると、コンピューター用磁気テープはVHS方式のビデオテープの500分の1という。

 技術開発も進む。ソニーは14年4月、テープ1巻で185テラバイト以上を実現する技術を開発したと発表。富士フイルムは昨年4月、最大220テラバイトの大容量化技術を打ち出した。

 この分野は両社と日立マクセルの3社が世界市場をほぼ独占しており、技術革新によって一段とコストが下がれば、IoTの普及の中で日本企業が優位性を持つ分野として改めて脚光を浴びる可能性もある。