東ガス、不動産事業に本格参入 中小規模 多角化推進で収益基盤拡充
東京ガスは9日、今秋にも旧事業用地など管内の遊休地を活用した中小規模の不動産事業に本格参入する方針を明らかにした。来春の都市ガス小売り全面自由化を控え、強化中の多角化戦略を推進するため、子会社中心だった中小規模案件を本体で手掛ける。早期に事業計画を策定、10月にも専門部署を立ち上げる。
東ガスは昨年10月、不動産計画部に中小規模の遊休地の再活用を検討する開発推進プロジェクトグループを設置。同月、JR田町駅(東京都港区)に隣接するガスタンクや研究施設があった所有地を、商業施設やホテルに再開発する大規模開発事業「TGMM芝浦プロジェクト」が着工したのを機に、不動産事業内で新たな掘り起こしを始めた。
同プロジェクトグループの陣容は10人。子会社で不動産事業を手掛ける東京ガス都市開発、同用地開発の2社から精通する人材計6人を加えた。昨秋以降、活用中の土地を含めた管内約3000カ所から候補地を選定する作業に着手。これまで東京都内と神奈川県内の計約20カ所を当面の候補地として絞り込んだという。
マンション建設などを検討しており、東ガスは「幅広く開発可能性を探る」(小野勝美・開発推進プロジェクトグループマネジャー)としている。夏までに数値目標を盛り込んだ事業計画書をまとめ、社内の機関決定を得て専門部署を設置する方向だ。
東ガスが首都圏で約1100万件の顧客を持つ都市ガス小売り事業は、来年4月に全面自由化される。同事業には火力発電の燃料として天然ガスを大量調達する東京電力ホールディングス(HD)などが参入を表明。東ガスは4月の電力小売りの全面自由化で始めた家庭用電力販売で、東電HDから一定数の顧客を奪い存在感を高めているが、1年後には攻め込まれる立場に変わる。収益基盤を広げるため、東ガスは売り上げ全体の数%にとどまる不動産事業の育成を急ぐ。
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