タカタ、リコールで特損442億円 16年3月期130億円の赤字

 
厳しい表情で決算会見するタカタの野村洋一郎取締役=11日午後、東京・日本橋兜町の東京証券取引所

 タカタは11日、2016年3月期連結決算を発表し、エアバッグのリコール(回収・無償修理)関連費用を中心に442億円の特別損失を計上した。最終損益は130億円の赤字だった。赤字は過去最大の295億円を記録した前期に続いて2年連続。

 米道路交通安全局(NHTSA)は4日にリコール対象を大幅に拡大したが、タカタは「原因究明ができていない」(野村洋一郎取締役)として拡大分に関する費用の計上を見送った。ただ、リコール費用は全体で1兆円規模に膨らむ見通しで、今後、タカタの経営に深刻な影響を与える可能性がある。

 特損のうちリコール関連の費用は、代替品の製造コストや裁判の和解金など計421億円に達した。売上高は前期比11.7%増の7180億円だった。

 17年3月期の業績見通しの最終損益は130億円の黒字を見込んだ。リコール拡大分の費用を計上しておらず、今後、大幅な下方修正を迫られる可能性がある。

 2年連続の赤字決算となったタカタは、決算短信に「継続企業の前提に重要な疑義」があるとする注記を記載した。

 再建は自動車メーカーによる支援の行方が焦点になるが、多額の負担になるため、タカタとの協議は難航も予想される。野村取締役は決算会見で、弁護士らによる外部専門家委員会が作成するタカタ再建案について「秋ごろまでにまとまる」との見通しを示した。

 16年3月期末の配当は見送り、年間配当は2年連続でゼロとなる。