トヨタ、今期は大幅減益予想 円高筆頭に“四重苦”で「覚悟が試される年」と豊田社長
円高で営業益4割減
トヨタ自動車は11日、2017年3月期の本業のもうけを示す連結営業利益(米国会計基準)が前期比40.4%減の1兆7000億円になるとの見通しを発表した。減益となれば、東日本大震災やタイ洪水の影響で生産が減少した12年3月期以来5年ぶり。円高の進行が9350億円の営業減益要因となる見込みだ。
会見した豊田章男社長は「これまでの数年間は為替の追い風参考記録。その風がやみ、自分たちの等身大の姿が見えてきた」と述べた。17年3月期の想定為替レートは1ドル=105円(前期は120円)、1ユーロ=120円(同133円)と大幅な円高を前提にした。
売上高は6.7%減の26兆5000億円、最終利益は35.1%減の1兆5000億円と減収減益を予想した。熊本、大分両県を中心とする地震に伴う減産影響は業績予想に織り込まなかった。ダイハツ工業と日野自動車を含めた世界販売台数は北米や欧州などでの伸びを見込み0.5%増の1015万台と計画した。
16年3月期連結決算は、円安の寄与で売上高が4.3%増の28兆4031億円、営業利益が3.8%増の2兆8539億円とともに過去最高を更新した。
トヨタ自動車が再び“試練”の時を迎えている。収益を牽引(けんいん)してきた円安が一転、円高に転じ業績に大打撃となるためだ。しかも取り巻く環境は円高だけでなく、熊本地震に伴う生産影響、新興国経済の減速、タカタ製欠陥エアバッグをめぐる対策費用の増大という「四重苦」が経営に重くのしかかる。“お家芸”とする原価低減で逆風をどうはねのけるか。トヨタの真価が問われる。
「今年に入り潮目が大きく変わった」。豊田章男社長は11日の会見で足元の経営を取り巻く外部環境の変化にこう危機感を示した。
減益要因9000億円超
念頭にあるのは年初から急速に進んだ円高だ。トヨタの場合、対ドルの円相場が1円円高にふれると年400億円の営業利益が吹き飛ぶ。トヨタの2017年3月期の営業利益は前期から1兆1539億円減る見込みだが、うち円高だけで9000億円超もの減益要因になる見通し。前期は円安で逆に1600億円の増益要因となっていたので「為替の影響がやはり大きい」と伊地知隆彦副社長も会見で認めざるを得なかった。
リスクは為替だけにとどまらない。熊本、大分両県を中心とした地震に伴う生産停止で業績が押し下げられる可能性が高いからだ。トヨタでは、同地震に伴い8万台の生産に遅れが出るとみる。
国内工場は4月25日以降、順次操業を再開させており、今月16~21日には全完成車工場を再開させる。その後の増産で遅れを取り戻したい考えだが、生産停止に伴う業績への影響はまだ「精査中」(伊地知副社長)の段階。想定以上に損失が膨らめば業績の下押し圧力にもなりかねない。
タカタ問題など懸念
懸案はまだある。新興国経済の減速だ。国際通貨基金(IMF)が、4月に公表した最新の世界経済見通しによれば、16年の新興国全体の成長率は4.1%と1月時点の前回予想から0.2ポイント下方修正された。新興国の景気が冷え込めば、新車販売への影響も避けられない。
さらにタカタの欠陥エアバックのリコール(回収・無償修理)問題も悩みの種。米道路交通安全局(NHTSA)が米国内のタカタ製品のリコール対象を大幅に拡大したことで、トヨタの対応費も膨らむ恐れがあるからだ。
ここ数年の最高益更新から一転、数々の試練に直面する今期、原価低減の徹底や拡販などの収益改善策で逆風をどう乗り切るのか。まさに「覚悟が試される年」(豊田社長)となる。(今井裕治)
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