(1)高橋社長が退任へ 「グローバルで人員適正化を図る」

シャープ決算会見詳報
シャープの高橋興三社長=昨年10月30日、東京都港区(早坂洋祐撮影)

 《平成28年3月期連結決算で過去最大となる1619億円の営業赤字を計上したシャープの決算発表会見。会場となった東京都港区のシャープ東京支社には報道陣約150人が詰めかけた。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業による買収決定後初の決算発表とあって、台湾を中心に海外メディアの記者の姿も目立ち、関心の高さをうかがわせた》

 《会見は午後3時10分にスタート。シャープの高橋興三社長は濃い紺色のスーツに淡い水色のネクタイをつけて登場した》

 《高橋社長は最初、決算の概要について説明を始めた。巨額赤字を計上しているとあって、説明する表情はかたかったが、鴻海との資本提携についてはひときわ大きな声で語った》

 高橋社長「2期連続の赤字となったが、鴻海グループとの戦略的提携で事業の安全的な継続に努める。29年3月期の業績予想は鴻海からの出資が終了後に公表する」

 《説明の終盤では、鴻海との提携についてさらに詳しく説明する》

 高橋社長「鴻海とは両社の強みを融合し、幅広い相乗効果で魅力的な商品を生み出していく。鴻海からの出資は6月末までの完了を目指す」

 《そして高橋社長は衝撃の発表をする》

 高橋社長「本日の取締役会で役員人事を決議した。自分は鴻海からの出資が完了次第社長を退任し、鴻海の戴正呉副総裁が新社長に就任する予定だ。9人の取締役が新しい経営を担い、企業価値向上にまい進する」

 《自らの進退について話した高橋社長は覚悟が決まったのか、少し表情をやわらげた》

 高橋社長「経営資源の最適化として本社の堺事業所への移転、東京オフィスの幕張ビルへの一部移転、鴻海の拠点活用による海外拠点の集約をそれぞれ進める。グローバルでの人員適正化も図る。成果に報いる人事制度も導入し、給与削減を廃止、黒字化の実現による賞与回復を目指す。管理職の降格制度も導入する」

 《取締役会での決定事項を一気に話し終えた高橋社長は、最後に姿勢を正してあいさつした》

 高橋社長「当社の経営は以前厳しいが、引き続きさまざまな構造改革で経営再建にとりくんでいく」