「日本車の信頼失墜」三菱自は今後どうなるのか 海外でも疑念晴れず

 

 軽自動車の燃費データの不正が発覚した三菱自動車。「スリーダイヤ」を冠した名門企業の不祥事を海外メディアは大きく報じ、強い関心を寄せている。最近まで、燃費水増し表示で批判を浴びていた現代自動車のおひざ元、韓国のメディアにも「日本車の信頼失墜」と断じられる始末。三菱自はこれからどうなっていくのか。リコール隠しの教訓を無にするような重大問題に世界は厳しい目を向けている。同社は11日までに社内調査の内容を国土交通省に再報告する。

 海外メディアも激辛コメント

 「意図的なものか、それとも単に無能だったのか…」

 4月20日の不正発覚後、米ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、辛辣な表現で三菱自に疑問を投げかけた。平成25年3月から生産が始まった「eKワゴン」など軽自動車の4車種の燃費データの不正について、果たして誰がどこまで知り得ていたのか。核心を含め不明な点が山積みだからだ。

 不正が発覚した軽自動車4車種の販売は日本市場向けだが、三菱自は北米や欧州でも知られる自動車メーカー。独フォルクスワーゲン(VW)による排ガス規制逃れ問題が終結しない中で起きた自動車業界の不祥事だけに、海外メディアの風あたりは強い。

 「日本の自動車メーカーの燃費データ不正が明らかになったのは初めて」と報じたのは英BBC(電子版)。2014年には韓国・現代自動車と傘下の起亜自動車が燃費性能水増し表示で、米当局から3億5000万ドル(388億円)の罰金を科せられたと紹介。VWは、排ガス規制逃れの対象車の大規模なリコールで、関連費用として67億ユーロ(約8276億円)を引き当てた例をあげ、不祥事が及ぼす財務への影響も懸念した。

 「優秀な品質と燃費で脚光を浴びた日本車の信頼が失墜している」

 韓国・中央日報(日本語電子版)はこう分析。欠陥エアバッグのリコールが続くタカタと同列に並べて、日本企業の醜態として位置付けた。三菱自は、現代自が1975年に韓国大衆車として生産した「ポニー」の計画で技術供与した企業としても知られ、関心は強い。

 三菱自は4月27日、米国で販売した2013年~17年型の車種では燃費データの不正はなかったとしているが、海外の疑念は晴れてはいない。

 円満解決の道険し…ガソリン代、エコカー減税は

 三菱自は外部有識者による調査委員会を設置。第三者による真相に迫るメスは入ったばかりだ。調査の進捗を踏まえ、ユーザーらへの具体的な対応が決まるとみられるが、円満解決の道は険しい。

 まず重大なのが軽自動車を購入した顧客に対する補償だ。

 三菱自は正確なデータとカタログとの燃費差をもとに、ガソリン代を穴埋めするとみられている。いまのところ、燃費データ不正が明らかになった計62万5千台が対象。燃費性能の水増し分は5~10%程度とされる。ただ走行距離や地域によってもガソリン価格は変わるため、補償額の算出は容易ではない。なにより、怒り心頭の購入者が提示された補償内容に納得するかは分からない。中古買い取りの価格にも響きそうだ。

 燃費性能に応じて税金が安くなる「エコカー減税」で優遇されていた税負担の軽減分の扱いも焦点だ。税額が変ってしまうほど、燃費データが実態と大きく異なれば、税金を追加で払う必要があるからだ。

 今回は、ユーザー負担を三菱自が担う意向を示しており、同社がまとめて払う可能性があるが、手続きなどはまだ何も示されていない。

 三菱自の主力工場である水島製作所(岡山県倉敷市)では軽自動車の生産が休止。この状態が長期化すれば、地元の下請け会社や地域経済にも深いダメージを与える。

 補償損失、最大1500億円規模の試算も

 三菱自は、問題のあった軽自動車を購入した顧客だけでなく、株主からも突き上げをくらうのは必至だ。4月の三菱自の軽自動車販売はeKシリーズの販売を停止したことで、前年同月比44・9%減の1477台に落ち込んだ。業績に早速、影を落としている。

 世界の自動車グループの中では、三菱自の企業規模は決して大きくはない。環境規制逃れのVWは、世界販売台数でトヨタ自動車に次ぐ業界2位で、売上高は28兆円にのぼる。

 現代自グループは起亜自とあわせて販売台数は業界5位の780万台超。これらに対して、三菱自の世界販売台数は約110万台で、売上高は約2兆2000億円と上位10位にも入っていない。リコール隠しのときと同様に立て直しには三菱グループ企業の支援が命綱となりそうだ。

 野村証券のレポートでは、ガソリン代補填など不正のあった軽自動車62万5千台への対応だけで、425億~1040億円かかると推計。平成29年3月期に1500億円程の損失を織り込んだ。

 今後、強く懸念されるのはブランド力の低下。国内外の販売だけでなく、従業員の士気、商品開発計画にも悪影響を与えかねない。

 三菱自株は4月19日には800円台にあったが不正が明らかになって以降、急落。500円を切る水準にまで落ちた。将来への不安をマーケットは映し出している。

 世界の自動車グループの中で、三菱自の企業規模は決して大きくはない。環境規制逃れのVWは、世界販売台数でトヨタ自動車に次ぐ業界2位で、売上高は28兆円にのぼる。

 現代自グループも起亜自とあわせて販売台数は業界5位の780万台超。三菱自の世界販売台数は約110万台で、売上高は約2兆2000億円と上位10位にも入っていない。リコール隠しのときと同様に立て直しには三菱グループ企業の支援が命綱となりそうだ。

 野村証券のレポートでは、ガソリン代補填など不正のあった軽自動車62万5千台への対応だけで、425億~1040億円かかると推計。平成29年3月期に1500億円程の損失を織り込んだ。

 今後、強く懸念されるのはブランド力の低下。国内外の販売だけでなく、従業員の士気、商品開発計画にも悪影響を与えかねない。三菱自株は4月19日には800円台にあったが不正が明らかになって以降、急落。500円を切る水準にまで落ちた。将来への不安をマーケットは映し出している。