エネルギー自給自足のスマートハウス

eco最前線を聞く
Gシリーズのドマーニ

 □積水化学工業 技術渉外グループ長・塩将一さん

 積水化学工業はセキスイハイム45周年を記念して、戸建て住宅「Gシリーズ」を発売した。家庭用エネルギー管理システム(HEMS)によって一部の機器を制御できるようにし、スマートハウス機能を強化した点が特徴だ。塩将一・技術渉外グループ長は「地球温暖化問題を解決するためのキーワードはエネルギーの自給自足。これを前面に訴求し拡販につなげていきたい」と語る。

 ◆蓄電池普及を先取り

 --日本は2030年までに温室効果ガス排出量の26%削減(13年比)を公約している。家庭部門は4割近い削減率が求められ、ハードルが高い

 「当社は太陽光発電システムの搭載を積極的に行ってきた。約3000戸の入居者を対象にした15年の調査によると、59%がエネルギーゼロを達成している。国もエネルギー消費量をおおむねゼロにできる『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス』(ZEH)の普及を推し進めており、ゼロエネルギーは当たり前の世界になっている。さらに削減を進めるには『その次に何ができるか』といった観点が不可欠だ」

 --ただ、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)は価格引き下げが続いており、ゼロエネルギー住宅をめぐる課題は残る

 「現在のZEHは太陽光におんぶにだっこなので、価格引き下げは厳しい現実だ。また、ZEHが普及した場合、晴れた日の昼間に電力余剰が出る住宅が標準的な姿になる可能性が大きい。それを解決するには、昼間の余剰電力を蓄電池などにためて夜に使用する自給自足型のモデルが解決方法になる。蓄電池はコストが低くなり、20年ごろから爆発的に普及すると予測している。それを先取りするモデルを今から投入していかなければ市場ニーズに間に合わないという会社の意志を踏まえ、Gシリーズを商品化した。買電にも売電にも頼らないモデルが成立できればよい」

 ◆翌日の消費電力量予測

 --新シリーズの特徴は

 「構造体の断熱性を高めた。また、これまで電力の見える化やコンサルティングを行ってきたHEMSを大きく進化。最大でエネルギー自給自足率85%を達成できるようにした。例えばオリジナル空調システムの深夜運転を、HEMSが翌日の外気温予報情報をベースに制御。快適性を保ちながら省エネ性が向上した。蓄電池については、HEMSデータに基づき翌日の総消費電力量を予測。太陽光の発電量も予測することで、最適な充放電時間を顧客ごとに制御する」

 「また、家庭用として初めて太陽光発電、商用電力、電気自動車(EV)の電源に加え、蓄電システムを併設。環境・経済性を大幅に向上させた。環境配慮の輪を大きくしたことで、自動車メーカーとの広い意味でのタイアップへとつながっていく可能性がある」

 --入居者調査を継続して実施しているが、新シリーズにはその傾向をどのような形で反映させたのか

 「ZEHの住まい方は1つではない。ライフスタイルに応じて、提案する内容が変わっていくものだ。例えば消費電力が多い大家族の場合、容量の大きな蓄電池を導入しても効率的に活用できる。ところが省エネに一生懸命取り組んできた顧客は有効活用の余地が小さい。調査を通じて判明した傾向を踏まえ、蓄電池の容量が小さいものから大きなものをそろえるなどメニューの幅を広げ、組み合わせによるベストな提案を行えるようにした」(伊藤俊祐)

                  ◇

【プロフィル】塩将一

 しお・まさかず 1985年積水化学工業入社。戸建て住宅の設計や商品開発を経て、2016年5月から現職。55歳。兵庫県出身。