日産、韓国当局の主張は「誤り」 排ガス制御、不法でなく欧州規制適合

 
日産自動車による「排ガス不正」を指摘する韓国環境省の担当者=16日(AP)

 日産自動車のディーゼル車「キャシュカイ」が韓国環境省から排ガス規制の不正を指摘された問題で、日産と韓国当局の主張の食い違いが鮮明になっている。日産は17日までに韓国当局の主張が「誤りだ」とする声明を発表。週内には同社幹部や技術者らを韓国に派遣して主張の正当性を伝える。日本政府は事態の推移を見守る構えだが、日産に一方的に不利な状況となれば支援する可能性もある。

 「日産は韓国環境省が発表した内容に失望しており、不正が行われたとされる内容を否定する」。日産が発表した声明では広報担当責任者であるジョナサン・アダシェク氏の発言として不正はないと断言した。

 その理由として、韓国で発売する同車は、韓国の規制でも認める、欧州で最も厳しい排ガス規制「ユーロ6」の適合を取得しており、「他国の規制当局が独自に行った厳格な試験を経て得られた判断と一貫性を欠く」とした。

 韓国環境省の16日発表によれば、キャシュカイに搭載された窒素酸化物(NOx)の低減装置で、エンジンの吸気温度が35度を超えると停止するよう設定されていたと指摘。意図的に燃費を良くした可能性があるとして、韓国日産に課徴金3億3000万ウォン(約3000万円)を科し、社長を刑事告発する方針を示した。

 日産は現行キャシュカイを2015年11月に韓国で発売。計814台を売ったが、17日の聯合ニュースでは韓国でのキャシュカイ購入者が、韓国日産などを相手取り、購入代金の返還を求める集団訴訟を近く起こす準備を進めていると伝えた。購入者を取りまとめている弁護士は「(韓国政府の)発表通りなら韓国日産が購入者をだましたもので売買契約は成立しない。既に購入者から問い合わせがある」と話している。

 一方、日産は今回の問題を日本の経済産業省と国土交通省に報告済み。林幹雄経産相は17日の閣議後記者会見で「日産は(不正が)ないと言っているわけで、このあたりは動向を注視したい」と述べ、当面は日産と韓国環境省の話し合いの行方を見守る考えを示した。

 ■日産「キャシュカイ」の排ガス装置をめぐる韓国当局と日産の言い分

 ・韓国環境省

  排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)量が基準の20倍を超える問題が判明。燃費を良くするためエンジンが一定温度になると排ガス浄化装置が止まるよう不正設定されていた

 ・日産自動車

  欧州の排ガス規制「ユーロ6」の適合を取得済み。欧州当局では日産車は全ての法規に適合しているとの結論だ。韓国ではユーロ6に適合した車両の輸入・販売を許可しており、不法に排ガスを制御したという主張は誤り