相次ぐ不正発覚…カタログ燃費への視線厳しく 自工会「実際は8割程度」

 

 三菱自動車の燃費データ不正問題は、スズキも規定と異なる走行試験をしていたことが分かり、自動車メーカーがカタログなどに表示する燃費への視線が厳しさを増している。カタログ値は実際よりもかなり良くなっていることがほとんど。政府は、国連が定めた試験方法を2年後に導入するなどして、より実態に即した表示方法を検討している。

 日本で販売中の乗用車に表示されている燃費は、メーカーが走行試験で測定した空気抵抗値などのデータを基に、国が屋内の計測機のローラー上を走らせて測定した数値。「JC08モード」と呼ばれ、2011年から導入された。

 国土交通省によると、JC08モードは、渋滞のない平らでまっすぐな道を、エアコンやライトを使わずに走行する状態に近い。加減速があり、エアコンも使う実際の走行では、燃費は悪化する。

 日本自動車工業会(自工会)によると、実際の燃費は平均でカタログ値の約8割といい、「カタログ値は一つの目安」と呼び掛ける。

 「本当の燃費」を求める消費者の疑問に答えようと、株式会社イード(東京)が運営するサイト「e燃費」では、会員からの情報を集計して掲載。不正があったことが判明している三菱自「eKワゴン」の13年6月発売モデルの実燃費は、ガソリン1リットル当たり17.6キロで、カタログ値29.2キロの約6割だった。

 政府は乗用車や3.5トン以下のトラックを対象に、国連が14年に定めた測定方法(国際基準)を導入予定だ。

 市街地や高速道路などを想定して低速、中速、高速で試験し、より実態に近い数値が出るという。国交省は、走行条件に応じた複数の値のカタログ表示を義務付けることも検討している。

 ただ、新方法でも現実そのままの数値が出るわけではない。自動車評論家の国沢光宏氏は「カタログ値はユーザーも信じていないのが実態だ」と指摘。「郊外を走るときはカタログの7~8割、市街地だと6割程度などと、実際の燃費の目安を把握しておくべきだ」と話している。