三菱自へ派遣の人選に着手 日産、開発部門の出直し支援
三菱自動車の相川哲郎社長と開発担当トップの中尾龍吾副社長が、株主総会が開かれる6月24日付で引責辞任するのを受け、三菱自と資本・業務提携する日産自動車は19日、三菱自への開発部門トップの派遣に向け本格的な人選に着手した。三菱自では技術力の不足を補うために燃費データの不正に手を染めており、日産はノウハウを持つ技術者を送り込み、三菱自の開発部門の解体的な出直しを支援する。
日産は、週内にも複数の技術者の候補をリストアップし、三菱自の益子修会長が選ぶ見通し。日産のカルロス・ゴーン社長は派遣する人材について「誰を選ぶかは三菱自の責任で、押しつけることはない」としている。三菱自が技術者の派遣を受けるのは、不正を引き起こした開発部門の「抜本的な改革が不可欠」(三菱グループ幹部)との判断からだ。
連結売上高が2兆円超で、研究開発投資に振り向ける金額も小さい三菱自が、自動運転など急速に高度化が進む技術競争を生き残るためには日産のノウハウが欠かせないわけだ。
日産の候補者は三菱自の株主総会で承認される見込み。現在、三菱自の開発トップの中尾氏は副社長の立場にいることから、日産から派遣される人材は副社長に就く可能性もある。日産は三菱自に技術者を送り込み次の軽自動車ベースの電気自動車(EV)の開発を日産主導で進める考えだ。
日産は、年内に三菱自に対する34%の出資を完了し会長を送る方針。三菱自ではそれまで益子会長が留任して、日産との提携に向けた調整に当たる。相川社長の後任社長は、日産との提携の了承を得る臨時株主総会までのつなぎとなるため、益子会長が兼務する見通し。日産との提携完了後の新体制で、三菱自の会長と社長を誰が務めるかが、今後の焦点となる。
■三菱自動車の今後の動き
5月25日 日産自動車と資本業務提携を正式契約
6月24日 定時株主総会。相川哲郎社長が辞任
7~8月 特別調査委員会が結果を報告
10月ごろ 日産が三菱自株34%を取得して筆頭株主に
年内 臨時株主総会。新経営体制に移行
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