スズキも違法測定隠蔽 燃費データ、日付や気温偽装 法令を軽視する開発現場
自動車燃費データ不正問題で、スズキが実験室内で燃費試験用データを測定しながら、テストコースでも実際に対象車両を走らせ、その日付や測定環境の一部データを提出書類に記載していたことが19日、分かった。自動車の型式指定の申請時には測定環境の報告が義務づけられており、違法測定を隠すための偽装工作を行っていたとみられる。不正があった三菱自動車の軽4車種の報告でも、気温や気圧、風速などで偽装があったことが判明。法令を軽視する2社の開発現場の実態が浮かんだ。
自動車の生産・販売に必要な型式指定の申請では、空気やタイヤの抵抗を示す「走行抵抗値」を国側に報告し審査機関の燃費試験を受ける。この際、測定に使用したテストコースの場所や測定日、天気、気温、気圧などを記載した書類を提出する。特に気温や気圧、風速、風向きは、審査機関が標準的な試験状況を再現するために使用する重要項目だ。
スズキによると、他社供給分を含む27車種について、タイヤやブレーキなどの抵抗値を個別に実験室内で測定した上で、足し上げた数値を走行抵抗値として報告しながら、別に実施したテストコースでの測定日を型式指定の申請書類に記入していた。
記入したのは「試験路における走行抵抗測定記録」欄。テストコースでの測定を前提としているため、気温や気圧、風速などの項目についても、法令で定める方法で測定したかのように偽装した数値が記載されていたことになる。
スズキは会見で、全ての車種について法令に基づく「惰行法」によりテストコースで実測したが、その結果はばらつきが大きく、使用できなかったと説明していた。産経新聞の取材に対し「型式指定の申請書類には惰行法を実施した日付を記載した。その他の項目については調査中のため答えられない」としている。
一方、三菱自動車は19日、不正が見つかった軽4車種のうち、机上計算があったものについては気温や気圧、風速などの項目を捏造(ねつぞう)して申請書類に記載したことを認めた。
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