三菱自、高い燃費目標に開発部門が“暴走” 今後は“日産支配”で態勢見直し

 
不正に自動車の燃費データ計測をした三菱自動車の会見で辞任を発表した相川哲郎社長(左)=18日午後、東京都千代田区の国交省(宮崎瑞穂撮影)

 三菱自動車の燃費データ不正問題の発覚から1カ月が経過した。高い燃費目標に技術が追いつかず開発部門がデータ改竄(かいざん)などの不正に手を染めたことがこれまでに判明。問題を見抜けなかった責任を取って相川哲郎社長と中尾龍吾副社長が6月24日付で辞任する事態に追い込まれた。三菱自は資本業務提携する日産自動車から近く開発部門のトップを招いて、開発体制の解体的出直しを急ぐ。

 三菱自が燃費不正を公表したのは4月20日。軽自動車4車種の燃費試験で意図的に燃費を良く見せる改竄があったとして対象車種の生産や販売を停止した。

 その後は「芋づる式」に不正が発覚。軽4車種以外に、20年以上前から規定とは異なる試験方法で燃費データを測定したり、法令上必要な車両の走行試験をせずに机上計算だけでデータをまとめたりしていた。

 今月18日に三菱自がまとめた不正に関する調査報告では、軽でデータ改竄を起こした問題の背景について、ライバルとの燃費競争に勝つため「経営陣からの強い期待」があったと説明。開発日程や燃費目標に関する経営陣の発言が不正を生む環境をつくったと認め、相川社長と中尾副社長が辞任することを表明した。

 今後は、ユーザーに対するガソリン代の差額分の支払いや、エコカー減税の追加納税などの負担が待ち受ける。燃費データの改竄を公表後、国内の受注は激減しており、業績の大幅な悪化が避けられない。

 またデータ改竄などの“暴走”を引き起こした開発部門の早急な態勢見直しも再発防止と信頼回復に向け急務となる。三菱自は既に日産に開発部門のトップを担う技術者の派遣を要請しており、日産は近く候補者リストを三菱自側に提案する。候補者は、三菱自の益子修会長が選び、6月24日の三菱自の株主総会で承認される見通しだ。

 三菱自は日産からの技術者を受け入れることで、開発部門については提携完了前から事実上の日産傘下になる。日産の技術支援で開発力を補い、コンプライアンス(法令順守)意識の改革なども進め、不正体質の一掃を目指す。

 日産との提携後の新たな経営体制も焦点だ。益子会長は日産からの出資受け入後に退任し、日産から会長の派遣を受ける。相川社長の後任を含めた新布陣から、三菱自のバックアップ体制が見えてくる。(今井裕治)