富士通社長「国内はヘルスケアなど強化」 EU離脱、英事業に影響懸念
「富士通フォーラム2016」で基調講演を行う富士通の田中達也社長=19日、東京都千代田区
富士通の田中達也社長は19日、フジサンケイビジネスアイなどの取材に応じ、英国が欧州連合(EU)から離脱した場合の影響について「マイナス面が大きい。いろいろなものが連携してつながり、価値が生まれるのが主流になる中、逆行することになる」と懸念を示した。富士通は英国事業に過去10年間で30億ポンド(約4800億円)を投資するなど注力している。離脱した場合は「適切に対応したい」と述べた。
田中社長は為替の影響について、「円・ドルよりも、ユーロ・ドルのほうが大きい」と指摘。2016年3月期連結決算は、米国ドルに対するユーロ安の進行で、欧州拠点で米国ドル建ての部材調達コストが上昇したことが減益要因となり、営業利益が前期比32.5%減の1206億円にまで落ち込んだ。為替動向を「今後も注視していきたい」と話した。
国内では、ヘルスケア業界向けのサービスを強化するほか、農業やスポーツに情報通信技術(ICT)を活用する方針も表明。今年2月に分社化し、東芝、VAIO(バイオ)との統合交渉が白紙になったパソコン事業については「グローバル競争に向けていろいろな選択肢を考える」と、他社との再編も引き続き模索する考えを示した。
東京国際フォーラム(東京都千代田区)で同日開幕した技術展「富士通フォーラム2016」の基調講演で、田中社長は人工知能(AI)、セキュリティー、ロボットなど各分野の最新技術を紹介。「常にテクノロジーにチャレンジし、顧客と歩むことは変わらない。信頼されるパートナーになるため、技術を高め、専門性を磨いていく」と宣言した。
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