中部空港利用の訪日客呼び込み 三重県、サミット開催地の利点生かす
伊勢志摩サミットの開催を追い風に、中部空港(愛知県常滑市)を利用する外国人旅行者を三重県内に呼び込もうとする動きが活発になってきた。県海外誘客課の担当者は「開催地の利点を生かし、食文化などさらにPRを進めたい」と意気込む。
三重県内で宿泊する外国人は昨年7月以降、増加中。ただ、データをまとめている中部運輸局の担当者は「中部空港への格安航空会社(LCC)の就航本数が増え、愛知県内で泊まれなかった人たちが三重県に流れている」と分析。必ずしも、サミットの開催決定が呼び水となっているわけではないとしている。
中部空港では、昨年6月に春秋航空(中国)が一気に週14便を就航させるなど、この1年間で中国、台湾からのLCC便が急増している。運輸局の見方を裏付けるように、2月に三重県内で宿泊した外国人のうち、3分の2は中国、香港、台湾から来た人たちだった。
三重県の担当者も「実感としては、愛知県に近い桑名市や四日市市に泊まっている人が多い」と証言。そのまま名古屋や関西方面に向かう観光客を、伊勢志摩など県内の観光地に呼び込むのが課題となっている。
中部空港を利用する外国人旅行者に足を延ばしてもらおうと、三重交通(津市)は3月から、中部空港と高速船で結ばれている津新港から伊勢神宮に直行するバスの運行を開始した。
所要時間は鉄道とほとんど変わらないが、格安な料金と、名古屋駅での複雑な乗り換えがないことが売り。旅行代理店や航空会社とも提携し、浸透を図る。担当者も「うまくいけば飛騨高山や白川郷、金沢と並ぶ国際観光地になる」ともくろむ。
受け皿となる宿泊施設も増加している。民泊やゲストハウスの宿泊予約を仲介する「エアビーアンドビー」によると、三重県内の民泊の登録件数は昨年12月までの1年間で6件から54件へ9倍に増えた。同時期の全国平均は3.5倍。大都市圏で最も伸びた大阪府でも7倍だった。
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