9カ国でマングローブ植林活動展開
eco最前線を聞く□東京海上日動火災保険 経営企画部CSR室・高津戸さおり課長代理
東京海上日動火災保険は、アジア太平洋地域でマングローブの植林活動に取り組んでいる。1999年の創立120年を機に、企業として社会に貢献できる活動を社員に募り、「環境を守り、長く続けられる活動」としてスタートした。16年という長期間、9カ国におよぶ取り組みは、日本企業有数の規模に広がった。経営企画部CSR室の高津戸さおり課長代理は「1本からの植林がいろいろな活動に広がっている」と、CSR(企業の社会的責任)の主要テーマに据える「地球を守る」取り組みの大きなきっかけ作りになったと話す。
--これまでの植林実績は
「2015年3月末の9カ国での総植林面積は8994ヘクタールまで広がった。直近で9000ヘクタールを超えている。これは東海道・山陽新幹線の東京駅-広島駅間に沿って100メートル幅で植林したことに相当する。年間の二酸化炭素(CO2)吸収・固定量は14年度で11万トンに達した。当社は事業活動で生じるCO2排出量に対し、自然エネルギー利用、排出権取得やマングローブ植林などで吸収・固定化してCO2の量を等しくする『カーボン・ニュートラル』に取り組んでいる。植林の成果もあり、東京海上グループとして09年度以降は11、13、14年度に達成した」
--植林活動の仕組みは
「マングローブ植林行動計画(ACTMANG)、公益財団法人オイスカ、特定非営利活動法人国際マングローブ生態系協会(ISME)の3つの植林NGO(非政府組織)をパートナーに、現地の行政や住民らと連携して取り組んでいる。09年からは保険契約者への約款を書類からウェブへの切り替えで得る紙使用量削減額の一部を活動に回す『Green Gift』プロジェクトを通じても支援している。現地には年1回、30~40人で植林ツアーを組んで出向き、現地の子供らに植林の重要性を伝える『出前授業』を実施している」
--植林による効果は
「地球温暖化防止効果に加えて、海を浄化する作用もある。これは海洋資源の拡大や生物多様性の保全につながり、生きものの『命のゆりかご』になっている。また『みどりの防波堤』としての防災効果もある。実際04年にインドネシアで起きたインド洋大津波や、13年にフィリピンを襲った台風ハイエンの際には住民の生活を守ったと報告されている」
--その他の効果は
「植林が現地で雇用を生み、エビや貝の漁獲量が増えれば住民は収入を得られる。マングローブは薪になるほか、種子も売れ、生活の安定につながる。9カ国で利用の仕方も異なり、予想していなかった事例も生まれている。最近はベトナムでマングローブの花による養蜂が営まれている。インド・グジャラート州では、海の流れが速く植物の生えない泥干潟が広がるサバルマティ川河口に高塩分濃度でも成長する背の低いマングローブの一種を植え、洪水を防ぐと同時に、乾期に不足する家畜飼料に用いられている」
--活動で重視しているのは
「植林活動は多様な効果を生んでおり、継続した活動の重要性を訴えている。07年には植林を『地球の未来にかける保険』と位置付け、活動を100年間続けると宣言した。さらに最近は活動の成果について『見える化』を進めている。三菱総合研究所に依頼し、国際的評価法に基づき植林活動で生み出される生態系サービスの経済的価値を算出した結果、開始してから14年3月までで約350億円に達した。また住民の暮らしの向上をはじめ活動が生んできたマルチベネフィットを実感しており、今後も成果を積極的に発信していく」(鈴木伸男)
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【プロフィル】高津戸さおり
たかつと・さおり 聖心女子大学卒。1996年入社。営業推進、営業の業務を経て2013年7月から現職。42歳。
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