銀行窓販、保険商品手数料の開示見送り 金融庁、軌道修正余儀なく
金融庁は銀行窓口で販売される保険商品について、10月に予定していた手数料の開示を見送る方針を固めた。過度に手数料の高い保険商品を銀行が勧めるケースがあり、透明化のため、開示させる方向だった。ただ、日銀のマイナス金利政策で貸し出し利ざやが縮小し、金融商品販売など手数料稼ぎに力を入れる銀行の反発は根強く、軌道修正を強いられた格好だ。
金融庁は手数料開示に必要な保険会社向けの監督指針の改正案を今月20日にも公表する予定だったが、凍結する意向を固め、既に銀行業界や生命保険業界に伝えた。
運用結果や為替相場で受け取り額が変わる変額年金や外貨建て保険などの貯蓄性の保険が対象で、銀行の窓口で売れ筋になっている。投資商品という側面が強いが、投資信託は手数料が開示されているのに対し、銀行が受け取る手数料は顧客が支払う保険料に含まれ、開示されていない。
手数料が10%と過度に高い商品もあり、金融庁には手数料に透明性がなければ、銀行が高い手数料目当てに不要な商品を顧客に勧めかねないとの問題意識があった。このため、今年に入って生保業界に手数料を開示するよう求め、銀行業界も含めて調整してきた。
この動きに対し、銀行業界は複数の保険会社の商品を取り扱う乗り合い代理店などが手数料を開示していないことを理由に「銀行を狙い撃ちするのは不公平」(大手銀)と反発した。
本音では手数料の高い商品に対する顧客の購入意欲の低下や、手数料の引き下げにつながれば、“ドル箱”の保険販売のうまみはなくなる事情もある。
生保業界は、乗り合い代理店など他の販売経路にまで手数料開示の流れが広がることを懸念し、金融庁の意向に沿って10月に手数料を開示する準備を進めてきた。だが、業績を牽引(けんいん)する銀行窓口での貯蓄性保険の販売が減るリスクがあった。
最終的に、金融庁が開示を見送った背景には、日銀のマイナス金利導入で銀行や生保の収益悪化懸念が強まっており、開示で保険商品の販売が減れば、追い打ちをかけかねないとの思惑もはたらいたとみられる。
金融庁からは「顧客本位の姿勢が徹底できていない裏返し」(幹部)と恨み節も聞かれる。今後は金融審議会で行われる「顧客本位の金融商品販売のあり方」の議論などを踏まえ、再度検討する構えだ。
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