アサヒグループ 縮小傾向のビール市場、収益確保が先決

トップは語る

 □アサヒグループホールディングス社長・小路明善さん(64)

 --国内市場が縮小する中、ビール業界の再編は

 「ビール5社はそれぞれ良い商品を持っており、再編でブランドが統廃合されることを消費者は望んでいない。競争と協調を明確にする時代に入ってきている。再編の前に同業と協調する部分が多くある。縮小傾向のビール市場で収益を確保することが先だ」

 --足元の景況感、個人消費をどう見るか

 「天候要因も非常に大きいが、可処分所得のマイナスや、より節約しないといけないという節約の購買心理という2つの要因で弱含みが顕在化するだろう。個人消費は冷え込んでくるので、来年4月は消費税増税のタイミングではないと思っている」

 --ビール類の酒税の一本化の議論をどうみる

 「日本のビール税は欧米より税率が十数倍は高い。税率は下げるべきだ。一本化の方向に行った場合、ビールのブランド強化を図り、ビール類に占める比率も7割弱から増やしていく。一方で、節約志向に対応する第3のビールもしっかりブランドをつくっていく」

 --海外事業については

 「海外売上高比率は、2018年までに(現在の約13%から)最低でも20%程度に引き上げる。欧州の老舗ビールメーカーなど買収先4社は統合効果を発揮し、各社のブランドを強くして、販売エリアも拡大する。その上で将来的に、スーパードライを欧州の買収先を通じて販売する可能性もある」

 --7年ぶりにビールの新商品を出した

 「開発に約2年かけた『アサヒ ザ・ドリーム』は、世界的なビール審査会で銀賞を受賞した。小売店のスペースは限られている。強いブランドは収益率も高い。糖質50%オフができても、うまいビールはなかなかできない。技術陣の腕の見せどころだった」

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【プロフィル】小路明善

 こうじ・あきよし 青山学院大法卒。1975年アサヒビール入社。アサヒ飲料専務取締役、アサヒビール社長などを経て、2016年3月から現職。長野県出身。