旭化成 コンプラ徹底しつつ事業構造変革
トップは語る□旭化成社長・小堀秀毅さん(61)
--子会社によるくい打ちデータ偽装で浅野敏雄前社長が辞任したのを受け、4月に社長就任した
「顧客や社会に迷惑をかけ、会社の信頼を失った。企業は信頼なしには存続できない。今回の件がなくても認識していないといけなかったが、改めて中期的な成長を固める機会にしたい。旭化成は多角経営を強みとし、傘下にさまざまな事業があるが、(経営陣が)現場に目が届くようにしないといけない」
--データ偽装の影響で住宅販売が落ち込んでいる
「4月に広告宣伝を再開して以降、モデルルームには客が戻ってきている。ただ、戸建てと違って集合住宅の販売回復には少し時間がかかるかもしれない。夏までには正常化すれば、と思っている」
--ここ数年、社長への権限集中を進めている
「それが本来の姿ともいえる。旭化成は、事業構造を迅速に替えることで成長してきた。変化が激しい時代ではなおさらスピードが大事で、有事への対応に強いリーダーシップが必要だ。4月にスタートした新中期経営計画では、コンプライアンス(法令順守)を徹底し、信頼回復を図りながら、事業構造の変革を進めていく」
--中期計画では、化学や繊維などの『マテリアル』、医薬品や医療機器を含む『ヘルスケア』、『住宅』を重点3領域に定めた
「計画策定には社長に決まる前からかかわり、もともとその3領域に絞るべきだと思っていた。計画を実行するための経営体制はほぼ出来上がっている。今後は運営のあり方を詰めていきたい。10年後には産業同士の壁がますます取り払われ、さまざまな技術が必要になるだろう。各領域内、あるいは領域同士の融合を進め、シナジー(相乗効果)を生み出せば、もっと多角経営の強みを発揮できる」
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【プロフィル】小堀秀毅
こぼり・ひでき 神戸大経営卒。1978年旭化成工業(現旭化成)入社。2012年取締役、14年専務などを経て16年4月から現職。石川県出身。
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