中村屋 ウェブへの情報発信に注力

広報エキスパート
大野正美氏

 □中村屋執行役員総務・人事統括部長 大野正美氏

 --最近、中村屋の記事がグンと増えました

 ウェブを意識した情報発信に取り組んでいます。その一つとしてニュースリリースの作成に力を入れています。当社は菓子やレトルト、レストラン、通信販売の各部署に販促機能があります。それぞれに新商品や新メニュー、新店舗情報などがあるにもかかわらず、発信する部署が偏っていました。このため昨年から広報と各部署の販促担当者が情報交換する場を設け、まずは「マスメディアへのPRについて」をテーマに勉強会を開催。広報担当から「何がニュースリリースの素材となるのか」「一般社会が興味を持つ内容とは」などについて説明。何がリリースとなるのか理解できたようです。

 --その後の展開は

 各部署から発信したいテーマについて、ニュースリリース作成のための資料や画像などを広報あてに送ってもらうようにしました。それを基に広報担当者がニュースリリースを作成し、依頼者とその上長に内容を確認してもらい調整します。メディアへの発信はニュースリリースの配信業者に委託しています。

 --成果は

 配信業者は約7500の通信社、新聞のニュースサイト、ポータルサイトなどから約300に配信します。この態勢にしてからウェブでの掲載率は一段と高くなりました。リリースの配信や掲載結果は、販促担当者会議で報告します。どの部署のどういうテーマのリリースが、どのくらい掲載されたかを一覧表にし、掲載結果の差があるものに関しては、その要因を共有しています。

 --「中村屋サロン美術館」がにぎわっています

 2014年10月に商業ビル「新宿中村屋ビル」をオープンし、3階に開設しました。明治末から昭和初期にかけて新宿中村屋には、創業者の相馬愛蔵・黒光夫妻の支援のもと、彫刻家の荻原守衛(碌山)や画家の中村彝(つね)、書家・美術家の會津八一など多くの芸術家・文化人らが集まりました。その様子が欧州のサロンに例えられ、後に「中村屋サロン」といわれるようになりました。

 --その影響は

 日本近代美術史にその名を刻むとともに、中村屋に芸術・文化の薫りを添えました。その歴史を大切にし、新しいメセナ活動実践のため中村屋サロン発祥の地に開設しました。中村屋サロンの芸術家たちの作品紹介のほか、新進芸術家や地域に関する作品展示、イベントを開催。また広く芸術・文化の振興につながるような企画を催しています。従業員もこれまで以上に創業者の社会貢献を誇りに思うようになりました。

 --食育活動にも盛んに取り組んでいます

 自治体や小学校からの要請を受け、協力しています。料理教室では1927年に純印度式カリーを日本に広めたパイオニアとしてカレー教室を開催。中村屋のシェフが直接、素材の切り方や調理方法などを伝授しています。プロの話を聞き、技を見て、食べることで食に関する知識を増やし、食の楽しさを体感していただけたらと思っています。相馬愛蔵の出身地、長野県安曇野市では地産地消を目的とした市内小中学校の統一給食の日に、年2回ですが地元の玉ねぎを使った当社のカリーソースを提供しています。初回は地元のテレビや新聞で給食の内容や中村屋が大きく報道されました。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)

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【プロフィル】大野正美

 おおの・まさみ 1984年明治大法卒、中村屋入社。総務課長、法務室長、総務・法務部長などを経て2013年から現職。