ダイソン 美容家電参入 高級ドライヤーまず日本で

現場の風

 □ダイソン創業者兼チーフエンジニア ジェームズ・ダイソンさん(69)

 --ドライヤーの販売で美容家電市場に参入し、注目を集めている

 「従来のドライヤーは重い、音がうるさいといった問題があった。ヘッド部分にモーターを搭載して重心が不安定となり、持ちにくく、髪の毛に与えるダメージも大きいといった不満もある。それらを解消したかった」

 --具体的に、どうやって課題を克服したのか

 「デジタルモーターをハンドル部分に収納してハンマーのような形にし、手の負担を軽減した。従来のドライヤーモーターと比べて最大8倍速い毎分11万回のスピードで回転し、重さも半分にまで軽量化した。たくさん風が出る一方で、ハンドル部分には消音材も入っているので、とても静かだ。温度センサーも搭載し、熱も制御できる。ヘッド部分は筒状で羽根がないので、髪の毛を巻き込まず、安全に髪の乾燥とスタイリングができる」

 --開発にかけた時間、コストは

 「ドライヤーの開発期間は約4年だが、モーター技術の開発は18年ぐらいかけている。製造ラインの構築に膨大な投資をしており、総額約95億円を投じた。開発に際しては、1000マイル以上分の長さになる髪の毛で実験し、髪のつやを出し、健康を維持するためにはどうすればいいのか研究を重ねた。熱い空気を髪の毛に当てると、穴ができて、傷んでしまうため、温度調整が必要だということがわかった」

 --日本市場で先行発売した理由は。想定価格4万5000円は高くないか

 「日本の消費者は新しい技術に関心があり、理解が深い。当社の掃除機の場合でも、最初に高く評価してくれたのは日本の消費者だった。軽くて静かなので、使っている時間でも夫婦や家族で会話が楽しめる。きっと満足して使ってもらえると思う」

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【プロフィル】ジェームズ・ダイソン

 英王立芸術大学院卒。1970年代に紙パック不要のサイクロン掃除機を発明し、86年に世界初のサイクロン搭載掃除機「Gフォース」を開発。93年英国でダイソン設立。2009年に羽根のない扇風機「エアマルチプライアー」発売。