三菱重工、貨客船1000億円規模に MRJは日米3拠点で開発加速

 

 三菱重工業は10日、都内で事業戦略説明会を開催した。大型客船の建造で多額損失を計上している商船事業について、交通・輸送ドメイン長を務める鯨井洋一副社長は「エネルギー船と官公庁船、貨客船を伸ばす方向で検討している」と述べた。

 造船業界をめぐっては、高齢船の代替として貨客船需要が見込まれており、鯨井副社長は「(貨客船を新たに)年間2、3隻受注し、1000億円に届くレベルの事業規模とし、客船事業を補完したい」と語った。三菱重工は大型客船の建造で累計2375億円の損失を計上。現在、社内の評価委員会で事業撤退も含めた検討を行っており、秋までに方向性を出すとしている。

 一方、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」について、鯨井副社長は「今夏から米国で飛行試験を始める」と述べ、日米3拠点で開発を加速させる意向を示した。

 三菱重工は同日、真和工業(愛知県豊田市)と三重県松阪市に航空機部品の表面処理や塗装を行う合弁会社「松坂APM」を設立すると発表した。MRJや米ボーイング向け部品生産を短縮する狙いがある。交通・輸送ドメインの2017年度の業績目標は、売上高を7000億円、営業利益400億円に設定。民間航空機部品やエンジン、都市交通システムの受注を伸ばす。

 一方、原子力や火力などのエネルギー・環境ドメインの17年度の業績目標は売上高2兆円、営業利益2400億円とした。三菱重工は日立製作所と火力の合弁事業で、南アフリカのプロジェクトの損失額をめぐって対立しているが、藤原久幸執行役員は「進展はなく、めどはついていない」と現状を語った。