VW、30種以上のEV投入へ ディーゼル不正で路線転換

 

 排ガス規制逃れ問題に揺れるドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は16日、経営戦略を発表し、2025年までに30車種以上の電気自動車(EV)を市場投入し、年間で200万~300万台のEV販売を目指す方針を明らかにした。販売台数が落ち込む中、世界首位を見据えた拡大路線を転換。経営効率を重視する。

 VWは環境性能を売りにしていたディーゼルエンジン車の規制逃れ問題で大きくつまずき、リコール(回収・無償修理)や損害賠償請求訴訟などの対策費が重荷となって15年12月期決算の最終損益が22年ぶりの赤字に転落した。EVの開発強化で巻き返しを図る。

 ミュラー会長は、これまでの拡大路線について「うぬぼれがあった」と指摘。「過去の過ちから学び、オープンで潔白な企業文化を定着させなければならない」と改革への決意を示した。

 グループ全体で約340ある車種を絞り込む。グループの部品事業の統合などでコストを大幅に削減する考えも示した。

 VWはこれまで、18年までに新車販売台数で世界首位に立つことを目指してきた。中国での販売増や企業買収で14年の台数を1013万7000台まで伸ばし、1023万台のトヨタ自動車に肉薄した。

 しかし、不正発覚で15年は前年比2.0%減の993万台と低迷。傘下の高級車ブランド、アウディは販売を伸ばしたものの、VWブランドはイメージ悪化が響き、4.8%減と急ブレーキがかかった。(ベルリン 共同)