世界に日本の伝統文化普及図る 茶禅・竹田理絵社長

 

 茶禅(ちゃぜん)は、茶道を中心とした日本の伝統文化体験を企画・運営している。訪日外国人客を茶でもてなすほか、企業のセミナーでもお点前を披露する。竹田理絵社長は茶道歴30年以上、講師歴20年で教えた生徒数は延べ5000人を超えた。海外でも茶会を開き、日本の伝統文化の発信に力をいれる。売り物は敷居を低くしたスタイルだ。

 外国人観光客が行き交う東京・銀座。歌舞伎座の隣のビル内に茶室を構えている。日々、午前10時から午後8時まで1回45分、1日複数回の茶会を開いている。2015年10月の開設からこれまでに3000人が訪れた。このうち外国人の割合は実に8割に達する。

 受講者はまずビデオで10分ほど茶道の歴史や作法についてレクチャーを受け、茶臼で抹茶をひく体験をする。手洗い用の鉢「つくばい」で手を清めると、にじり口から姿勢を低くして茶室に入る。障子越しの光は室内に陰影のコントラストを映し出し、独特の静謐(せいひつ)な空間を醸し出している。菓子と茶を供され、受講者にも茶を点てる体験をしてもらい、最後に写真撮影をする。

 「本格的だが敷居を低くすることで、手軽に日本の伝統文化を体験してもらいたい」ということから価格も抑えた。他では4500~1万円の受講料が主流だが、3500円と割安だ。正座ができない人はいすに座ったり、足を投げ出しても構わない。受講する外国人観光客にとっては「他では味わえない日本文化に触れることができる」と好評だ。ほかに着物に袖を通しての銀座散策や侍・忍者体験などのプログラムも提供している。

 祖父が掛け軸職人、母が茶道師範の3代目江戸っ子として東京・神楽坂に生まれる。曹洞宗の幼稚園に通ったことで、幼いころから茶や禅に親しむようになる。社会人になり日本IBMに入社後、取引先の外国人から日本の伝統文化について聞かれて答えられず、ビジネスチャンスを失う同僚の姿を見てきた。「ビジネスを展開する上で自国の文化を知らないと軽んじられる」と伝統文化の素晴らしさを知らない日本人が多いことに寂しさを感じる。

 日本IBMを退職後、師範である母の手伝いをしながら茶道を教えてきた。一方、知人の紹介で住宅展示場のモデルルームなどで茶会のイベントを催す過程で、企業研修・セミナー講師を引き受けるようになる。茶道、禅の伝統文化の視点からマナー研修を開いてきた。受講した企業からは「接客レベルが向上した」「トラブルでも落ち着いて対処できるようになった」といった声が寄せられている。

 国際博覧会の出展時には、米ロサンゼルスのビーチ、パリ・シャンゼリゼ通りなど世界各地で茶会を開いている。「国が違っても一杯のお茶を飲むことで、どの人もリラックスする」と茶を飲む効果についての普遍性を再認識した。

 今後、茶の文化をより世界に浸透させていく。そのため茶道の研修を修了した弟子が、各国で茶の魅力を発信してくれることを期待している。国・地域ごとに変質することもあり得るが「プラスアルファで新しいものが生まれるかもしれない」と前向きに日本の伝統文化の普及を図る。(佐竹一秀)

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【プロフィル】竹田理絵

 たけだ・りえ 青山学院大文学部卒。日本IBM入社。茶道講師、企業セミナー・研修講師を経て、2014年9月茶禅を設立し現職。茶道裏千家教授、池坊華道教授。東京都出身。

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【会社概要】茶禅

 ▽本社=東京都中央区銀座4-12-17 銀座石川ビル5階

 ▽設立=2014年9月

 ▽資本金=100万円

 ▽従業員=4人

 ▽事業内容=茶道を中心とした日本文化体験の企画・運営、茶道具の販売