ゆうちょ銀総会、株価低迷に不満の声 「期待していたが…」株主から苦言

 
ゆうちょ銀行の株主総会会場=21日、さいたま市中央区

 ゆうちょ銀行は21日、上場後初の定時株主総会をさいたま市で開催した。取締役選任案は原案通り可決されたが、質疑では株価低迷への不満の声も出た。運用の主力を国債に頼る同行は、日銀のマイナス金利政策により大きく影響を受ける。経営陣は運用の高度化で対応する考えを示したが、株主の視線は厳しさを増している。

 約900人が来場し開かれた総会では4月に就任した池田憲人社長が「顧客基盤の確保や内部管理体制の充実に全社一丸で取り組みたい」とあいさつした。

 しかし、株主からは「株価が上場の際と現在では、だいぶ開きがある。期待していたが、市場からの評価が下がっているのではないか」との苦言も出た。21日終値は1237円で、売り出し価格の1450円を下回る。

 昨年11月に日本郵政グループの一翼を担う大型上場として注目されただけに、売り出し時に買って含み損を抱える株主が多いとみられる。幹部は「心配をかけ申し訳ない」と陳謝する一方、「市場全体が下がっている状況に加えてマイナス金利で銀行株全体が下落している」と釈明した。

 原則として融資ができないゆうちょ銀は、運用資産の大部分を国債に頼らざるを得なかった。国債の占める割合は約4割とメガバンクより高い。

 外債への投資を増やしているほか、将来的に未公開株や不動産など比較的リスクの高い「代替投資」に5兆~6兆円を投じる方針だ。しかし、運用資産は約200兆円と巨額だけに“脱国債”は一筋縄ではいきそうにない。

 さまざまな制約に縛られているゆうちょ銀が難局を乗り切れるか、21日に選任された経営陣の真価が問われる。