退任するアローラ氏が挨拶「孫社長は若返った。今後5~10年は社長続ける」
株主総会詳報・ソフトバンク(1)平成27年3月期に165億円超の報酬を得て話題になったニケシュ・アローラ副社長が電撃退任するという発表から一夜明けた22日、ソフトバンクグループは都内で定時株主総会を開いた。アローラ氏を「後継者」と言い続けてきた孫正義社長が、心境の変化をどう語るかが注目され、不安定な天候にもかかわらず、会場には多くの株主が詰めかけた。
午前10時、孫社長が議長席に着いた。笑顔で株主席を見つめるが、少し固い表情だ。あいさつがひと通り終わると「なお、昨日の発表のように、ニケシュ・アローラ副社長は代表取締役を退任するため、本総会は欠席しますが、皆様にごあいさつがあります」と切り出した。
孫社長が「ニケシュ」と呼びかけると、アローラ副社長が姿を現し、株主に向けて英語で語り出した。
アローラ氏 「株主の皆様に、2年間ソフトバンクでお仕事をさせていただいたことにお礼を申し上げる。社員の皆様には、グローバルな通信会社のあり方を教えていただいた。孫社長には、すばらしいアイデア、人類に対して貢献する方法について学ばせていただいた。(買収した米携帯子会社の)スプリントに対する孫社長の決意はすばらしい。成功をお祈りしたい」
表情は落ち着いていて、感情の揺れのようなものは読み取れない。
アローラ氏 「2年前、ソフトバンクの変革への種まきについて仕事を与えられた。300年続くにはどうすればいいか、ということだった。孫社長やチームの皆様、投資会社との集合体であるべきだと結論づけた。シンプルなアイデアとして(成長の第2段階を意味する)『ソフトバンク2.0』を打ち出した。必要なことは3つあった。仕組みづくり、人材、実行力だ。2年目にソフトバンクグループとして再編成した。我々としては強力な投資チームもつくることができた」
自身が果たした役割について淡々と述べる。話題は、ソフトバンクグループが活発化している、世界のベンチャー企業への投資に移った。
アローラ氏 「孫社長の実行力、トレンドを見い出す能力は卓越している。Eコマースでは、アリババ集団(中国)やスナップディールなどに投資した。インドは10年前の中国と同じということで投資してきた。ここ数カ月、(株式の売却益で)180億ドルを生み出せたことを誇りに思う。2・0への成功に向けて基盤をつくることができた。孫社長は(ベンチャー企業の)若い経営者と出会い、若返った。今後5~10年社長を続ける情熱、エネルギーを取り戻したようだ」
「若返った」のくだりでは孫社長の笑い声が聞こえた。しかし、若い経営者との交流で孫社長の心境が変わったなら、これがアローラ氏電撃退任の“遠因”となる。アローラ氏とともに進めたベンチャー投資をめぐって孫社長が「禅譲」の考えを取り下げたとすれば、皮肉なめぐり合わせとも言えそうだ。
しかし、アローラ氏はソフトバンクグループに引き続き、貢献すると語る。
アローラ氏 「孫社長の決断を尊重し、十分にサポートさせていただく。私としてはアドバイザーとして継続してサポートさせていただきたく、株主からのご理解をいただきたい」
アローラ氏のあいさつは終わり、株主から拍手が起きた。
孫社長 「すばらしい人物で、たいへん大きなサポートいただきました。この後、いろんな質問あると思いますので、そこで私の心境、理由をコメントさせていただきたい」。
少なくともこの時点では、アローラ氏の退任は“円満”だと印象づけるやり取りだ。
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