実は余裕?三菱自が事実上の「収束」宣言 大幅値引きで販売台数維持か
「影響は一過性」。三菱自動車の黒井義博常務執行役員が会見で繰り返したのはこの言葉だった。今期決算で燃費不正に伴う損失を余裕を持って計上したためだといい、「燃費不正問題の影響は今期で終わり」とまで言い切った。しかし今回の問題で、国内販売の長期低迷が避けられないことを過小評価して、問題の“幕引き”だけを急ぐ三菱自の企業姿勢に批判が集まってもおかしくない。
三菱自が22日発表した2017年3月期の国内新車販売台数予想は6万台と前期比41%減る見込み。燃費不正問題の影響が直撃するためだ。実際、足元の国内販売は半減。黒井氏も会見で「国内販売はブランド価値の毀損により深刻な影響が出ると思う」と認めざるを得なかった。
今回の不正問題で、過去のリコール隠し問題から回復しつつあったブランドイメージは再び地に落ちた。繰り返される不祥事で、消費者の三菱自を見る目はさらに厳しくなっており、国内販売の低迷は長期化が予想される。
黒井氏も「信頼回復には時間がかかる」と認めるが、今回の不正問題が業績に及ぼす影響は今期までとし事実上の「収束」を宣言した。
なぜか。三菱自の余裕すらのぞく態度について、業界関係者の間では「大幅値引きで販売台数を維持する戦略ではないか」との見方が浮上する。すでに、益子修会長は7月上旬に軽の販売を再開後、新車購入者に対して10万円を値引きする考えを示している。今期の業績予想にも値引きや販売会社への営業支援金などに150億円を計上、国内販売への影響を過小評価する裏にはそうした戦略が透ける。
しかし不正問題を早々と過去の問題とし、台数を金で買いたたくような運営が行われれば顧客はそっぽを向きブランド回復はますます遠のくことになる。
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