キリン 常にマスコミの関心を意識
広報エキスパート□キリン執行役員CSV本部 コーポレートコミュニケーション部長・藤原哲也氏
--グループ4社の広報部門を統合したメリットは
従来はキリンホールディングス、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンそれぞれに広報部門がありましたが、2013年のキリン設立に伴いキリンコーポレートコミュニケーション部に統合。4社を個別取材してきた記者は今、4社の動きを全てキリンに尋ねれば対応できるようになりました。スタッフにとってはビールやワイン、清涼飲料などに関する商品情報を収集してまとめ、メディアに発信するなど活動範囲が拡大。また情報の流れを把握できるようになり、スキルアップに確実に結びついています。
--コーポレートコミュニケーション部の役割分担は
メディア対応をメーンとした報道(8人)、記者会見の準備やニュースリリースの作成を担当する企画(11人)、キリンビール9工場などの工場広報(5人)の3担当と、お客様相談室(38人)で構成。報道と企画はメディア対応を業務としていますが、役割分担を記者対応と情報発信策定に明確化しました。ニュースリリースは年間約260件。そのうち酒類関連が約110件、清涼飲料は約100件。情報発信は「マスコミの関心はどこにあるか」にポイントを置いています。
--キリンビール事業方針発表で「V字回復を本物にする」と宣言しました
昨年は主力商品「一番搾り」の販売に全社を挙げた結果、販売数量が9年ぶりに前年を上回り、シェアも6年ぶりに上昇。一方、キリンホールディングスは、2011年に買収したブラジル子会社の業績が昨年末に悪化。1949年の上場以来初めて最終赤字に転落しました。しかし専任役員の配置や現地CEO(最高経営責任者)の交代など迅速な対応と、現地と一体化した経営改革で最悪状況を脱しました。キリンビールの布施孝之社長は「ようやく回復の兆しが見えてきた」と述べ、16年目標として「お客さまのことを一番考える会社」を掲げ、全社一丸となってV字回復を本物にすることを宣言しました。
--CSV(共通価値創造)の取り組みに積極的です
13年の新体制移行にあたり、それまでのCSR(企業の社会的責任)から、事業活動そのものによって社会課題の解決に貢献するCSVの実践を経営の中心に据えています。東北復興支援として、同年11月に福島県産ナシを使った缶チューハイを発売しました。全国型商品を通して福島の農業の再生や復興を後押しするのが狙いで、売り上げ1本につき1円を東北の農業育成に活用。広報展開としては東京・大手町で発売イベントを開催し、新聞や雑誌、テレビを中心に約30件報道されました。
--「47都道府県の一番搾り」が話題となっています
昨年発売の「北海道づくり」など全国9工場ごとの「一番搾り地元生まれシリーズ」は予定の2倍の販売を記録し大好評でした。今年は「青森づくり」など9工場所在県以外の38都府県名を記した「47都道府県の一番搾り」を6月から順次発売。地元の誇りを商品に込めた自信作で、各地で工場長や支社長が記者発表。地元支援ということでメディアからも関心を持たれています。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)
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【プロフィル】藤原哲也
ふじわら・てつや 1983年一橋大商卒、キリンビール(現キリンホールディングス)入社。広報部などを経て2001年キリンビバレッジ広報担当部長。10年キリンビール広報部長。13年から現職。キリンホールディングスグループコーポレートコミュニケーション担当ディレクターを兼務。
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