独立系投資助言、ネット証券が活用 「話が通じやすい」富裕層取り込み狙う
特定の証券会社に属さず、資産運用の助言や株式売買の仲介をする「独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)」を活用する動きが、インターネット証券を中心に広がっている。大手証券が得意とする富裕層の取り込みが狙い。個人投資家にとっては、証券会社の利益や販売ノルマにとらわれないアドバイスを受けられるメリットがある。
◆「買わないで」
「そんなに急いで買わなくていいですよ」。関西で活動するIFAの大浦浩子さんは、株式や投資信託などの金融商品の購入を勧める一方、顧客が損をしそうな買い注文を制止することがしばしばだ。大手証券から転身したが「当時は取引手数料の獲得を求められ、『株を買うな』とは言えなかった」と振り返る。
ある大手証券OBは「証券会社の営業マンは、会社にとって利益率の高い金融商品を買ってもらえるよう顧客に頼む『お願い営業』になりがちだ」と明かす。これに対し楽天証券の大嶋広康常務執行役員は「IFAは純粋に顧客目線で助言できる」と強調する。
都内の男性(65)は、資産運用のアドバイスなどを行うガイア(東京都新宿区)所属のIFAに、相続した不動産の活用方法など資産運用全般について相談する。「内容に応じて不動産業者も紹介してくれるので頼りにしている」。証券会社の営業マンは転勤でひんぱんに代わるが、長い付き合いのIFAは資産内容を熟知し「話も通じやすい」と信頼を寄せる。
IFAは金融商品仲介業者とも呼ばれ、幅広い投資者に証券市場への参加を促すため、2004年に導入された。顧客の投資に関する相談に応じ、株や投資信託などの売買注文を証券会社に取り次ぐ。株などの資産を実際に管理するのは証券会社で、IFAは売買手数料などの一部を報酬として得る。SBI証券や楽天証券、中堅のエース証券などが関連事業を強化している。
◆日本では少数派
証券会社がIFAを活用する狙いはシニア富裕層の取り込みだ。特にネット証券は取引手数料の安さを武器に、若いデイトレーダーらを集めてきた。だがシニア層は保有資産が不動産や保険、株などと多様で、専門家の助言を必要とする人が多い。ネット操作が不得手な傾向もあり、対面営業の部署を持つ大手証券が強みを発揮している。
SBI証券の金井昌樹IFAビジネス部長は「IFA経由で、医師や企業オーナーを顧客にできた」と話す。IFAによる収入が、営業収益の約1割を超えるようになったという。
IFAは米国では証券営業の主流になりつつあるが、日本では約3000人とまだ少数派だ。組織に属さないので金融商品や相場の最新情報が得づらいことや、IFAに支払う報酬分だけ通常の取引より一般的にコスト高になるといったデメリットがある。運用能力や法令順守意識にも個人差があり「報酬を増やすため手数料が高い商品を売りつけたり、金銭トラブルを起こしたりするIFAがいないとも限らない」(大手証券関係者)。
楽天証券の大嶋氏は「投資セミナーなどで多くのIFAと接し、信頼できる人を見つけてほしい」と話している。
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