燃費不正「ご心配とご迷惑をおかけした」 鈴木会長が深く陳謝

スズキ株主総会詳報(1)
スズキの株主総会で話す鈴木修会長(中央)=29日、静岡県浜松市中区東伊場のグランドホテル浜松(会田聡撮影)

 燃費データの不正測定問題に揺れるスズキは29日、本社のある浜松市内で株主総会を開いた。一連の燃費不正問題について鈴木修会長が「株主の皆さまにご心配とご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪し再発防止を誓った。

 冒頭、鈴木会長が株主に対し不正問題を陳謝した。

 「すでに公表している当社の四輪車の燃費試験などについて、国が定める規定とは異なる不正の取り扱いがあり、株主のみなさまにご心配とご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます。今回のことを厳粛に受け止め役員報酬の減額等の処分を行ったことは既にご報告させていただいた。私自身も本総会をもちまして最高経営責任者(CEO)を降りることにしている。今後は再発防止を着実に実行するとともに、コンプライアンス(法令順守)の徹底やリスク管理体制の強化に取り組んでいくので、何とぞご理解をよろしくお願いします。誠に申し訳ありませんでした」

 鈴木会長は続けて、独自動車大手フォルクスワーゲンとの資本提携解消への対応を説明した。「長年にわたる株主にご心配をおかけしていたVWとの仲裁については、スズキの主張通り2015年8月の仲裁判断により契約が解消され、当社株式の返還が実現できたのでご報告を申し上げる。なお買い戻した当社株式は16年3月にその一部、1億2千万株のうち7千万株を消却実施したことをご報告申し上げたい」

 決算を説明するナレーションが終わると、鈴木会長は再び燃費不正問題についての説明を始めた。

 「議案の上程に先立ち、本総会冒頭でおわびさせていただいた四輪車の排出ガス燃費試験をめぐり、国が定める規定と異なる不正な取り扱いをしていたことについて、報道などですでにご存じの方もいらっしゃると思うが、ここで本日現在の状況を改めて説明させていただく。当社において国が定めた通りの測定法『惰行法』で燃費を測定し直した結果、いずれの車種もカタログ値を満たしていることが確認できたので本年5月31日にその確認結果とともに、本件に関する全容の説明とおわびを国交省に対して行った。その後、6月8日には再度国交省に赴き再発防止策と責任の明確化について説明した。その内容の再発防止については、一人一人が法律を守るという基本的な法令順守の意識を高める教育などの方策を今後行っていくこと、そして組織が縦割りになっていたということで風通しの良い横断的な連携を強化することが重点的な対策と考えている」

 続けて経営責任についての見解を示した。

 「次に責任の明確化については本田治副社長から辞意の申し入れがあったので、これを受け入れ、わたしもCEOを辞退することにした。今後も再発防止に全力を挙げるべく努力していきたいと考えている。さらに役員賞与、月額報酬についてはそれぞれの職務に応じて減額させていただいた。先週末の24日には石井国交相から呼び出しを受け、わたしと社長が伺い、再発防止を徹底するようにと直接厳しい指導をいただいた。当社としては全力で取り組むという旨をお誓い申し上げた。なお5月31日に報告した再測定の燃費値については今後国交省において検証頂くことになっている。今後も販売を続けながらお客さまの信頼回復に努めていく。株主の皆様には本件に関しご迷惑とご心配をおかけましたが、なにとぞご理解頂きまして引き続き支援をたまわるようお願いいたします」