鈴木会長「責任全うするのが男だ」 退任要求を「見解の相違」と一蹴

スズキ株主総会詳報(3完)
スズキの株主総会で株主に説明する鈴木修会長(中央)=29日、浜松市中区

 《3人目の質問でついに不正問題に話題が及ぶ》

 男性株主「スズキの販売店のものだが、不正でお客さまは信頼を失っているのではないかと思う。販売店は全力を尽くして商売していくがお客さまの信頼を失っているので今後どう対策していくか。再発防止をどうするか」

 鈴木会長「法令に違反した試験方法をとったということでお客さまの信頼を裏切ったということでディーラーさんには大変申し訳なく思っている。そういうなかで生産をつづけながら販売をやらせていただくということだが、再発防止が極めて重要です。現状を説明すると軽自動車販売は4月が前年同月比89%だった。5月は85%になり、6月は28日現在で前年比106%ということで前年を上回ることができた。そういうことでございまして、小型車はおかげさまで4、5、6月平均すると180%という成績を収めた」

 《鈴木会長がおわび行脚を語る》

 「わたしも発生以来、47道府県のディーラーを周りおわびを申し上げると伴に信頼をしていただくようにお願いしている。現在までに14県をまわり、総会が終わりましたらただちに北海道や、宮城など東北6県をおわびかたがたお願いに参りたい。ディーラーさんでは300人、500人集まっていただいて、激励が非常に多いということでわたしたちも信頼を受けていると思いながらお願いにまわっている。9月いっぱい47都道府県をまわって、信頼をお願いしてなんとか前年を上回るような販売実績を残したいと思うので、どうか一つお願いしたい。そういうことですからいろいろご懸念もあるかと思うが、再発防止も徹底的にやりましてこの苦難を乗り切ろうと思うのでどうかよろしくお願いします」

 《ここで経営責任を問う厳しい質問が飛ぶ》

 男性株主「毎年株主総会で賃金差別やサービス残業の問題について強く改善を申し上げてきた。今回の不正で鈴木修会長の責任は重大だ。CEO辞退だけでは不十分で、責任逃れと言わざるを得ない。会長を退任するべきではないか」

 鈴木会長「責任の取り方っちゅうのははいろいろあるんですね。すぐに役職を解くというのも一つの方法ですが、企業経営というのはまずやることは責任をとってやめるということが無責任だと私は考えている。従いまして、わたしが37年間やってきた中で最悪の事態を迎えている。こういうときこそチャンスですから、再発防止のために徹底的に会社に残って責任を全うすることが男として大切なことだと思うので、そのことについては見解の相違でございますからご理解頂きたい」

 《会場から鈴木会長の人気を印象付けるような大きな拍手が起こった》

 男性株主「激励と一言質問があう。不正はあったがスズキは近年すばらしいクルマを出している。過去最高の利益と配当をしていて良い実績を上げている役員また社員の方々、引き続き業務に邁進しがんばっていただきたい。その上で、今後のことについて意気込みについて一言伺いたい

 鈴木会長「今度の不正問題について再発防止をどのように考えるかということのご質問だったと思う、半面激励を頂いた感謝を申し上げる。この件は社長の鈴木からお答えさせていただく」

 《新CEOに就く俊宏社長に回答もバトンタッチする》

 鈴木俊宏社長「激励のお言葉ありがとうございます。今回の不正問題については社員全員が猛反省し、業務に邁進し一日も早く信頼回復を図ることが重要だと考えている。スズキの社員一人一人の力は優れたものなので、社員全員が一丸となってその力を発揮できるようにチーム内の風通しの良さなどを確保し、スズキらしい商品、お客さまの期待を超える商品作りをしていきたいと思いますので引き続き応援よろしくお願いします。この4月にはスズキグループに属する全員が社是の精神にのっとり健全かつ効率的、精力的に職務に専念するためのルールとしてスズキグループ行動指針を策定している。この中では一人一人が法令などを順守することはもちろんだが、率先して行動することや常に全体最適を意識することもうたっている。今後この行動指針の一層の徹底を図りながら、さらなる発展に向けお客さまの期待を超える商品作りに尽力していきたいと思います」

 その後の採決で、取締役の選任を含む4議案全てを可決。午前10に始まった株主総会は11時37分に終了し、出席株主数は昨年より75人上回る642人と過去最高だった。