MVNO初のアイフォーン提供 格安スマホ競争激化 低価格や独自端末で差別化

 
楽天モバイルの新サービスと新端末を発表する楽天の平井康文副社長(中央)。UQコミュニケーションズなど格安スマホを提供する各社は、相次いで料金を値下げしている=28日、東京都世田谷区

 KDDI子会社のUQコミュニケーションズが、仮想移動体通信事業者(MVNO)として初のiPhone(アイフォーン)の提供を始めることが28日、分かった。携帯大手各社が「実質0円」を規制される中、ワイモバイル、UQ、楽天モバイルといった格安スマホを提供する各社は相次いで端末と通信料込みで月額2000円を切るプランを導入。料金値下げで大手携帯各社からの顧客獲得を狙う。UQは格安料金と独自端末で競争を勝ち抜く考えだ。

 UQの発売するアイフォーンは、米アップルが2013年9月に発売したスマートフォン「アイフォーン5s」。4インチの小型画面で持ちやすいことから、根強い人気がある。UQの発売価格は未定だが、16ギガバイトモデルで5万4000円程度とみられる。

 楽天モバイルが7月から受け付けを始めると28日に発表した、端末代と通信料込みの「コミコミプラン」は、端末によって料金が異なり、最も安い月額1880円は、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)の「ZTEブレードE01」が対象となる。

 もともと、端末代と通信料込みのプランを2980円から提供していたワイモバイルは6月から1980円に値下げ。UQも7月から端末代と通信料込みで1980円に値下げしたプランを導入する。

 各社に続いて料金値下げを始めることについて、楽天の平井康文副社長は「各社に対抗したわけではないが、市場を分析した結果、市場が求める一つの方向性として導入を決めた」と述べた。楽天は、これまで端末代の支払いにしか使えなかった楽天ポイントを、月額料金支払いにも使えるようにすると発表。他社にないポイント経済圏の強みも生かす考えだ。

 28日に発表されたMM総研のMVNO利用者向け調査では、利用者満足度は62.7%に達し、「他人にMVNOを勧めたい」と答えた人も67.9%に上るなど、MVNOの普及は今後も加速するとみられる。

 ただ、事業者側にとっては「(先行する)欧州では格安だけでは苦しくなっている」(平井副社長)といい、今後はサービスの独自性も鍵となりそうだ。