NECが新ナノ炭素「ブラシ」発見 電気10倍通しやすく

 
カーボンナノブラシを発見、作製に成功したNECIoTデバイス研究所の弓削亮太主任研究員=30日、東京都港区

 NECは30日、携帯機器や自動車の燃料電池の電極として使われる「カーボンナノホーン」(CNH)が繊維状につながった炭素材料を新たに発見し、作製に成功したと発表した。「カーボンナノブラシ」と呼ばれるもので、従来のCNHの集合体と比べて10倍以上も電気を流しやすく、実用化されればセンサーの応答速度や蓄電池の出力向上などに役立つと期待される。すべてのモノをインターネットで結ぶ「IoT」や電気自動車の普及が見込める中、日本発の新規物質として世界的に注目されそうだ。

 研究成果は、6月1日付の独「アドバンスト・マテリアルズ」誌に掲載。2017年度をめどにサンプル提供を開始し、材料メーカーと量産化に向けて技術開発を行う。

 CNHは、直径がナノ(1ナノは10億分の1)メートルサイズの微細管「カーボンナノチューブ」(CNT)の仲間で、一方の口が閉じた角(ホーン)状の物質。外側に金属粒子を、内側にガスや薬剤を取り込みやすいことで知られる。

 カーボンナノブラシは、NECIoTデバイス研究所の弓削亮太主任研究員が14年12月に発見した。CNHがつながって、試験管の洗浄などに使われる棒ブラシのような細長い形状をしている。炭素棒にレーザーを照らし、原子状の炭素が蒸発する際に生成することを確認した。弓削氏は30日の会見で「液体と混ざりやすく、物質をたくさん吸着できるほか、少量でも電気を通しやすい」と説明した。

 1990年代にCNHとCNTを相次いで発見・作製し、ノーベル賞の有力候補として名前が浮上する名城大大学院終身教授でNEC特別主席研究員の飯島澄男氏も会見に同席し、「電極や(電気をためる電池の役割を果たす)キャパシタへの活用が期待できる」と述べた。