企業PR、若者取り込みへSNS活用 写真・動画投稿、共感を拡散
インターネットでの情報収集が当たり前になった若者を引き付けようと、会員制交流サイト(SNS)を活用した宣伝に企業が力を入れている。企画に参加した消費者に情報を「拡散」してもらって共感を誘ったり、投稿写真でカードを作成してイベントの集客に利用したりしている。広告らしくない動画も人気だ。
◆コーデを共有
「ポケットからスマホが落ちないかな?」
5月下旬、東京都品川区の学研プラス本社で、月刊ファッション誌「mer(メル)」の読者ら10~20代女性9人が集まり衣料品チェーン「しまむら」で8月中旬から販売予定のジャケットなどのデザインを話し合った。
開発会議はmerと、洋服のコーディネート写真を投稿するSNS「コーデスナップ」を運営するGMOメディア(東京)が開催。新潟県長岡市の看護師、布施優実さん(23)は「同じような服が好きな人と友達になりたくて参加した」と話す。
既に3月に、第1弾として春向けのシャツやワンピースなどをつくり、「しまめるコーデ」と銘打って、全国約1300店で発売。販売予定数の7割に当たる約2万5000枚が1カ月で売れた。
しまむらがチラシを使わずSNSを主軸に販売促進活動を展開したのは初めてという。
merの正田省二編集長(39)は「若い女性の間でファッションをSNSで仲間と共有する楽しみ方が広がっている。2万人の読者とつながっている人もいる」と説明。参加者が製作過程を発信することで「商品への共感を呼び、自ら宣伝役にもなった」とみる。
◆新鮮な体験
SnSnap(エスエヌスナップ、東京)は、イベント会場に設置した端末で、参加者がSNSに投稿した写真をすぐに印刷してカードを作成するサービスを展開する。多くの若者を企業や自治体のイベントに呼び、写真を投稿してもらうことが狙い。カードの裏に広告やクーポン券も印刷でき、本人にプレゼントされる。
西垣雄太社長(26)は「デジタル写真で育った若者にとって、自分が撮った写真が印刷されたカードは新鮮で、特別な体験として喜ばれる」と話す。15年7月のサービス開始後、1年間で約230件のイベントで導入された。
青森県十和田市は、地元の中学生の提案で、7月9日から10月30日まで「十和田湖観光交流センターぷらっと」に端末を設置。担当者は「美しい景色を撮影して投稿してもらいたい」と期待する。
文字離れが進むとされる若者向けに、動画広告を活用する企業も増えている。乗り換え検索サービス「駅すぱあと」を展開するヴァル研究所(東京)は4月、若い利用者を増やそうとアニメ動画の広告「サヨとコウの出発」をネット上で公開。2カ月で視聴回数が約90万回に上る人気だ。
変わりたいと願いながらも一歩を踏みだせない女子高生が、駅すぱあとの検索画面の「出発地」に「私」と入力するまでの物語。3分17秒のうち「駅すぱあと」の文字は最後に数秒出てくるだけ。「広告らしくない。最後まで見てしまった」という感想が目立つ。
同社ソリューション事業部の若井なつみさん(24)は「共感してもらうことを重視した。イラストを描き進めながら物語を展開する、飽きさせない工夫も評価された」と話す。
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