□ホールマーケティングコンサルタント、LOGOSプロジェクト上級研究員・岸本正一
■いま、ビジネスの「軸足」を動かすとき
今般のパチンコ遊技機における市場の変化は、金額的ヘビーユーザーの存在により売り上げを維持してきたホールにとっては厳しい経営環境の変化といえる。この現実から、新機種に対してネガティブな評価を即座に下すホールもあるが、それについて筆者はもっと慎重な考察が求められるべきだと考える。
何よりこれらの機種が市場で稼働することは、今後のパチンコ市場の将来を占う上での貴重なフィールドテストといえる。たとえば、ベース値30オーバーという遊技環境がプレーヤーにどのような影響を与えるのか。具体的な遊技時間の延長や遊技回数の増加、低貸玉営業から4円パチンコへの回帰現象も想定される。これらの動向を察知するためには、新たな基準で開発されたパチンコ機の収益性能だけでなく、その効用についてあらゆる角度からの観察が求められる。
市場環境の変化を察知せず、過去の「恩恵」を当然のことと理解して、そこから一歩たりともビジネスの軸足を動かそうとしなければ、どのような業種であれども将来は危うい。通信技術の進歩は2013年度末に日本国内のブロードバンド回線契約数を約9000万件にまで押し上げた。多くの人々においてインターネットを通じた商品の購入が可能となった現在では、小売店まで出向かなくとも簡単に商品を注文することができる。いわゆるeコマースの発達は、物販業界のビジネスモデルを大きく変化させた。当然のことながら、ここにも勝者と敗者が生まれる。
来たるべきパチンコ新時代はこれほどの劇的変化をもたらすには至らないだろうが、少なくとも市場環境の変化をつかみ損ねていると、現在の企業業績の維持が困難になる可能性は極めて高い。
いま、ホール経営者に求められているのは、軸足を据える「概念の変化」だ。遊技機のスペックが変わるタイミングでは得てして遊技機性能の評価だけに注目が集まるが、肝心なのは、この変化がもたらすパチンコ新時代への適応方法の研究だ。そのことを軽視して、次世代につながる市場形成など実現するはずはない。
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【プロフィル】岸本正一
きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。
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