野村不動産、飲食専門施設を強化 都心に年6カ所、サイト・サイネージで集客

 
5日に本格オープンするGEMS神田の外観=東京都千代田区

 野村不動産は飲食店専門の商業施設「GEMS(ジェムズ)」シリーズの事業体制を強化する。東京都心部を中心に年6カ所のペースで開発用地を取得していくほか、空席情報などをリアルタイムで表示するデジタルサイネージをビルの入り口に設置するなど顧客の利便性の向上を図る。野村不動産グループは2025年3月期までの中長期経営計画で、商業施設事業の拡大を成長戦略の一つに掲げており、期間中に3000億円の投資を計画している。ビジネスマンを中心に安定的な需要がある飲食施設事業を推進することで、収益力を高めていく。

 GEMSシリーズの特徴は「飲み屋横丁の縦積み版」(中野康光・商業施設事業部長)。各フロアごとに特徴あるテナントが出店している。5日にオープンするシリーズ4カ所目の「GEMS神田」(東京都千代田区)は地下1階・地上8階建て。歌舞伎の楽屋に届ける弁当をアレンジした「楽屋めし」を提供する「赤坂うまや」や、カキをはじめとした三陸食材による創作和食の「GARDENS」など、地元で評判の高い9店によって構成されている。

 GEMS神田の開業に伴い、デジタルサイネージを導入する。各店舗の空席具合や販促にかかわる情報をビルの入り口で確認できるため、来店客の利便性が大幅に向上する。新たに開業する施設では全面的に採用するとともに、一部を除く既存施設にも設置する。

 また、食関連のあらゆる情報を提供するサイトを開設。9月に試験的に稼働、来年8月に本格運用して来店を促す。

 GEMSは都内のオフィス街で、飲食店が少ないエリアをターゲットに展開。これまでに渋谷と市ケ谷、浜松町に開業しているほか今後は恵比寿や茅場町などに進出。新横浜や大阪・なんばでの事業化も計画している。すでに800を超える地元の名店と関係を構築しており、出店希望も相次いでいる。

 野村不動産は商業施設事業で、GEMSシリーズのほかショッピングセンター「ボーノ相模大野」(神奈川県)を運営。新シリーズの展開も視野に入れている。